チョ・スンウ、ホン・グァンホ、パク・ヒョシン、キム・ジュンス・・・
ミュージカル俳優‘歌と演技’関数関係
リュ・ジョンハン、パク・ヒョシン、カイの『ファントム』
ホン・グァンホ、キム・ジュンス、チョン・ソナの『デスノート』
パク・ウンテ、ハン・チサン、マイケル・リーの『ジーザス・クライスト・スーパースター』
オク・ジュヒョン、チョ・ジョンウン、チョン・ドンソクの『エリザベート』
チョ・グォン、Key、シヌ、ケンの『チェス』
キム・スンデ、IVYの『ユーリンタウン』
チョ・スンウ、チョン・ミドの『ラ・マンチャの男』
キム・ソヒョン、キム、ジュニョンの『明成皇后』
アン・ジェウク、ソ・ボムソク、イム・ヘヨンの『アリラン』・・・
今年6~7月に公演する‘大戦’という表現が正しいほど有名なミュージカル俳優の競演が熱くなされている。
彼らの出身成分を調べてみると本来のミュージカル俳優、歌手出身、(ドラマ・映画)俳優出身に分かれる。
ミュージカルが歌、ダンス、演技が調和する総合公演スタイルだと見れば 歌を仕事としてきた歌手や、演技に全力を注いできた俳優たちが集まるのは自然だ。
それならトップクラスの歌手・俳優が 最高のミュージカル俳優に直行することができるだろうか。いや、複雑な関数関係が存在する。
先に言及したように歌が中心になって劇的要素(ドラマ)とダンスが調和を作り出したミュージカルで 俳優の実力を計る2本の軸は歌唱力と演技力だ。
多少の意見はあるが 専門家たちは歌唱力においてホン・グァンホ、ハン・チサン、パク・ウンテ、パク・ヒョシン、マイケル・リー(男性)、
オク・ジュヒョン、チョン・ソナ、チャ・ジヨン、キム・ソニョン(女性)を挙げる。
演技力面ではチョ・スンウ、チェ・ジェウン、チョン・ウォニョン、チェ・ジェリム(男性)、チョ・ジョンウン、チョン・ミド、パク・ヘナ(女性)に言及しようとする。
歌唱と演技すべてを完璧に近いほど満足させてくれる者は極めて少数にすぎない。
それなら大学で声楽を専攻したり、ポップペラ・オペラ歌手として活動したり、プロの歌手として活躍し、歌に関する限り‘達人級’である人物すべてが
歌唱力採点表で高い点数を取ることができない理由は何か。ミュージカルの特性のためだ。
ミュージカルでの歌は歌謡・ポップ・歌曲のように単純に4分歌を歌って終わるものではない。2時間30分の劇の起承転結によって配置される曲だ。
歌手自身のパーソナリティーを維持したまま曲を解釈することではなく、劇のキャラクターに徹底してなりきり 他の俳優と呼吸を交えて
ソロ・二重唱・三重唱・合唱を歌わねばならない。
『ザ・ミュージカル』編集長パク・ビョンソンは「ミュージカル俳優はこの歌がドラマ上どんな位置にあり、どんな役割をするのかを見通して歌わねばならない。
ひとつの歌の中でも劇的な構造を把握せねばならず、キャラクターの感情と情緒を良く伝えねばならない」と強調する。
ドラマの起承転結に対する理解をどれだけ徹底的に備えるのかがカギだ。
ミュージカル制作社ショーノートのソン・ハンセム理事は「ドラマの流れに合わせてテンションとリラックスが適切に成されなければならない。
2番目のナンバーで失敗をしたり平凡に処理したとしても 5番目のナンバーで狂的に上手に歌えば強力な記憶で長く残る。
一つの作品を歌で歌うという覚悟で臨まねばならない」と語る。
一例として俳優チョ・スンウは演技力面では他の追随を許さないが、歌唱力においてナンバー1ではない。
しかし作品ごとに歌と歌唱という1+1を‘2’ではなく‘5’‘6’にするシナジー効果を作り出す。
どんな歌でも演技に昇華させてしまうことに観客の感情がおのずと上昇する。ドラマ上 歌の役割を完璧に理解して歌うためだ。
‘とんでもない歌唱力’のニックネームがついて回るホン・グァンホは歌ひとつひとつでは追いつく俳優がないという評価だが、
ミュージカル『ドクトル・ジバコ』でユーリ・ジバコ役を引き受けた当時 彼が歌ったナンバーが多少うんざりした反面、
ダブルキャスティングされたチョ・スンウのナンバーは面白みと没頭を作り出したこともその理由だ。
ポップペラのテナー イム・テギョンの場合 発声・声量・トーン・テクニックは秀でるが、彼の舞台には作品中のキャラクターではなく
‘イム・テギョン’が見えるため ドラマに没頭するのに むしろ歌が邪魔になるという評価を聞いたりもする。
歌唱力がミュージカルで重要な要素だが 歌うこととは別の概念という声だ。歌に演技の要素が多く作用するためだ。
それならミュージカルで歌唱力の最初の条件は何か。ミュージカル評論家ウォン・ジョンウォン(順天郷大 新聞放送科教授)は歌詞伝達力を挙げる。
作品のメッセージ伝達と直結する要因だ。
彼によると 歌手出身のミュージカル俳優は基本の歌唱力は良いが、発音が不明瞭なことで歌詞伝達力が低下する場合が多い。
JYJキム・ジュンスはアイドル歌手からミュージカル俳優としての転換において最も成功したケースに分類される。
鼻音の混じった独特な音色、音楽的感覚、カリスマにおいて素晴らしいが あいかわらずブツブツ言うような発音が原因で歌詞伝達力では惜しいという話を聞く。
ミュージカル俳優の歌唱力、演技力はジャンルによって重心が変わったりもする。
『レ・ミゼラブル』『壁抜け男』『ノートルダム・ド・パリ』『マーダー・バラッド』等ソングスルーミュージカル(セリフがなく歌だけで続くミュージカル)は
何といっても演技より歌が重要だ。
ロックミュージカル『ヘドウィグ』はコンサート舞台を彷彿とさせる公演なので観客をぐっとつかむように歌だけ上手にすればよいと思うが、カギは演技力だ。
作品全体を主人公ひとりで引っ張っていく‘モノドラマ’のジャンル的属性のためだ。
最近 観客動員に成功しているミュージカル『ジーザス・クライスト・スーパースター』のイエス役マイケル・リーと
『ファントム』の幽霊役パク・ヒョシンの活躍像は興味深い。
在米韓国人出身のマイケル・リーはブロードウェイで先にデビューして注目され 2006年『ミス・サイゴン』で国内活動を開始した。
韓国語の発音が不正確な限界にもかかわらず 演技と歌に込めた真正性で時間が流れるにつれ評壇および観客の高い評価を引き出すところだ。
特にチームプレーであるミュージカルで誠実さの美徳が全体の俳優たちに影響を及ぼす。
人気トップのR&B歌手出身パク・ヒョシンは2013年『エリザベート』以後『モーツァルト!』『ファントム』でミュージカルの歩みを続けてきている。
高難度のクラシック唱法を要求する『ファントム』ですらも存在感を認められて話題の中心に立つ。
別名‘牛追い唱法’の先頭走者だった彼は ミュージカルに最適化された唱法変身とともに数多くのコンサート舞台で蓄積してきた豊かな感性、
カリスマをキャラクターに投影させることによって一躍トップクラスのミュージカル俳優に跳躍した。
二人の俳優は自身を低くすることによって‘限界’を克服してミュージカルの舞台で自分だけの長所を炸裂させている。
ミュージカル俳優において演技と歌は一般の俳優、歌手の行いとは明らかに異なる。単純にセリフを上手に消化したり上手に表現し、
高音を次々にはりあげたりテクニックをあきれるほど駆使して‘上手だ’という評価を聞くことではない。
キャラクター解釈を通じて歌に感情を込めて、演技してこそ‘観劇’しに来た大衆をひきつけることができる。
ビートルズの歌のような‘遠く険しい道(Long and Winding Road)’だ。