九品人の落書帖

写真をまじえ、身の回りで見聞きしたことを、つれづれなるままに!

雅号(がごう)のはなし

2020年04月28日 | 書籍

 広辞苑を引くと、

 雅号は、文人、書家、画家などが本名以外につける風雅な別名とある。

 もともとは中国宋時代、漢詩の六義の一つだった。

 日本では江戸時代、一種の遊び心から流行したものだとされる。

                    □

 漱石や鷗外など、いずれも作風にふさわしい雅号と思えるが、面白いのもある。

 例えば、二葉亭四迷は「くたばってしまえ」からつけたと教わった。

 坂口安吾は中学生のころ教師から「お前は暗いヤツだから暗吾と名乗れ!」と言われ、

 小説を書くようになって迷うことなく「安吾」とした。

                    □

 森鷗外は、いかにも陸軍軍医らしい謹厳実直さが感じられる。

 隅田川の上流に“かもめの渡し”があって、その先は吉原だった。

 鷗外は隅田川をはさんで吉原と向かい側の小梅村に住んでいた。

 かもめ(鷗)は吉原を指す隠語でもあり、遊興の里から外れる趣意か。

                    □

 鷗外というペンネームを実際に使った期間は、僅かであったらしい。

 主な創作・評論・翻訳には、いずれも本名の森林太郎と署名した。

 どこかでイヤ気がさしたのかもしれない。

 遺言状には「余ノ墓ハ森林太郎ノ外一字モホル可ラス」と残した。

     

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