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こっぱもちの部屋

http://blog.livedoor.jp/kisaragi12yukari20/「こっぱもちの読書日記」

『イルカは笑う』田中啓文

2016-05-05 19:30:11 | 読書感想
まず、珪素系生命が地球を侵略してくる「ガラスの地球を救え!」が、オタク心をくすぐります。

「本能寺の大変」は、どの方向にふざけて下さるかと思えば意外にまっとう・・・でもないですね。オチがある辺り(笑)

表題作は、人間の身勝手さとそれを上回るイルカの計算高さに、さもありなんと思わされました。

「屍者の定食」は、一応、ゾンビものですが、この結末には苦笑いでした。
ただ、生者がいなくなったらゾンビも困りそうなので、養殖とか始めるべきだよなあ、と思う時点で感覚がマヒしたのかもしれないですね。

で、一つずつ感想を書いていると長くなりそうなので、一番好きな「まごころを君に」なのですが、私自身は江戸落語も上方落語もこだわりなく好きなのですが、田中さんがご自身の好みを脇に置いて書かれただけあって、その効果が発揮されてとても面白くなっています。
問題は、これが収録されているアンソロジー集を読んでいたのに忘れている私の脳です(苦笑)。

ダジャレが多いのが田中さんの特徴でもありますが、それにも関わらず、冷徹な視線が感じられることもあったりして、そこも魅力的な作品集でした。
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『昭和な街角―火浦功作品集―』火浦功

2016-05-04 19:31:17 | 読書感想
久しぶりの火浦さんの作品集です。

相変わらずおバカで、無責任です(ほめてます、多分)。
イラストが竹本泉さんというのも、気に入っています。

「ただのバカ一代」は、ある一家の主が変わり果てた姿で見つかったことで娘がグレでしまうのですが、とても火浦さんらしい話に終始しています。

「聞いた話」では、フィンランドの軍人から聞いた七面鳥の話が展開・・・はされませんが、火浦さんらしく描かれます。

一番好きなのは「終わる日」
意外と、こんな終わり方かもしれないと思いました。

「アモルフの棲む街」「キャロル・ザ・ウェポン」は・・・火浦さん、どーにかしてください!
ま、火浦さんだしなー(あきらめモード(笑))。

「明るい世紀末のすごし方」も、すごく面白いです。

「STUDIO」「閉じこめられて」も、おバカで大好きです(キッパリ)。

で、まあ、21世紀を迎えて10年以上過ぎているわけですが、火浦さん、ここは1つ新作をドカンと1本、ってわけにはいきませんかねえ。
いつでも、お待ち申し上げておりますので、よろしくお願いいたします。
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『ショートショート診療所』田丸雅智

2016-05-03 19:23:09 | 読書感想
病院や病気をテーマにしたショートショート集です。

中でも、人の妄想に生える「妄想竹」落語のあたま山を思わせる「雪を引く」反抗期を治す「更生物質」銀杏と共生関係にある人々を描いた「銀杏と生きる」が特に気に入っています。

私としては、田丸さんの今までのショートショート集でベスト3に入るくらいに好きな本です。
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『空色の小鳥』大崎梢

2016-05-01 19:31:31 | 読書感想
西尾木敏也は母の連れ子として西尾木家に入ったため、母の死後は、義父・雄太郎の顔色をうかがいながら親戚連中の追い出し工作にも気づかぬふりをして、高校を卒業し、大学にも進学した。

義父には一人、血のつながった長男・雄一がいたが、不慮の火災で亡くなってしまった。
ところが雄一の葬式に見知らぬ女性が現れ、後日調べたところでは、彼が失踪していたときに一緒に暮らしていた女性であり、娘・結希までいることが分かった。
敏也はある思惑から、その女性・千秋がガンに侵されあと三か月の命だと知ると、千秋の了解の元、結希と養子縁組をしたのだった。

千秋の死後、結希ばかりか、高校時代からの友人・汐野と、付き合っていた彼女の美奈江との、半同居生活が始まった。
慣れない子育てに悪戦苦闘する敏也に、報われる日は来るのか?

義父・雄太郎ばかりでなく、一般的に人は血に縛られた不幸な生き物なのかもしれません。
でも雄太郎は、その中でも不器用ながら思いやりのある人物なのではと、見直しました。
また敏也も、凸凹ながらも幸せな家庭を築けそうで、安心しました。
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