こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

玻璃の天

2007-06-18 00:00:00 | 未分類
北村薫さんの『玻璃の天』を読みました。

『街の灯』の続きです。
昭和初期としては珍しい、女性運転手ベッキーさんと花村家令嬢・英子が
様々な事件を解き明かしていきます。

内堀家版ロミオとジュリエットの親同士の確執の原因を作り、今回、再びむしかえそうとしているのは
果たして誰なのか?

「あしながおぢさん」をきっかけに仲良くなった綾子さんが、不思議な文を残して
失踪した。
その意味と理由とは?

資生堂パーラーで目が合った目立つ男性に、家の晩餐会で偶然にも再会し、
そのお宅の披露の会に招かれた。
そこで出くわした事故は、偶然なのか、意図があるのか?

ベッキーさんの鮮やかな推理と、英子をその答えまで導く力も素晴らしいのですが、
英子が誰に対しても公平に対応するところや自由な発言も、その時代としては珍しいと思います。
そして、当時の時代背景や空気を存分に味わわせてくれるのも楽しみです。
これから先は、戦事色が強くなっていくのでしょうが、英子の発言はともかく、
思考の自由さが無くならないでほしいです。

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あの山越えて 10巻

2007-06-17 00:00:00 | 未分類
夢路行さんのコミックス『あの山越えて』10巻を読みました。

田舎で農業に精を出す花枝は、農地などを貸してくれていた東京に住む広志と遠距離恋愛中。
ところが、広志の同僚女性がそこにつけこみ、田舎にまで押しかけ、三角関係かと大騒ぎ。
君子の姪は、中学卒業後、農業に専念。
平沼の勝平さんは、家で相手にされない分、君子の舅・姑の家をかきまわす。
そんな中、歩の兄夫婦も里帰り、久々に家族揃った正月を迎える。

静かな田舎だけど、細々とした事件で結構大騒ぎです。
現実は、なかなか厳しいんでしょうけど、まんがでくらいはほのぼのしたい。
そんな方にお勧めです。

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死体の冷めないうちに

2007-06-16 00:00:00 | 未分類
芦辺拓さんの『死体の冷めないうちに』を読みました。

自治体警察局特殊捜査室、略して自治警という元民間人ばかりで結成された捜査チームが、
七つの事件の解決に挑むという、連作短編シリーズです。

第一話「忘れられた誘拐」は、凶悪な誘拐犯が、人質の命を握ったままある精神状態に
陥ってしまったら?というテーマを扱っている。
これは、本だからこそ使えるトリックですね。でも、ほんのちょっとしたある違いから
犯人の変化を見抜くのは、なかなかできることではありません。

第二話「存在しない殺人鬼」は、ある女性の目の前で凄惨な殺人が起こりながら、
警察は、なぜか知らぬ顔をし、報道もされないという不可解な事件。
この理由は、知ったあとでは現代にありえそうと感じられて、感想が書けません。

第三話の表題作は、理系の犯人のアリバイ・トリック。
犯人の思惑を外れた展開が、ある理由からくるという意外性が面白く、
そのアリバイの破り方もややこしくて面白いです。

第四話「世にも切実な動機」は、独り暮らしの老人が、なぜ唐突に切腹を図らなければならなかったか、
という話。
人は、切実な思いがある時には、突拍子もない事でも、ひねりだすものなのでしょうか?
思考の不思議であり、あまりにも悲しい思いやりですね。

第五話「不完全な処刑台」は、爆薬のない時限爆弾と、そこに仕組まれた罠に挑む。
めったに当たらない私の推理が一部当たったもので、すごくうれしかったです。
ある単語というか、物からピンときました。

第六話「最もアンフェアな密室」では、その爆弾の作者と目された美少年が
密室で死んでいたはずが、発見された直後に消えてしまったという事件。
まぁ、確かにアンフェアといえばアンフェアなのですが、この現代、ありえそうで怖いです。

第七話「仮想現実の暗殺者」では、第一話で捕らえられた犯人が、自治警に復讐すべく、
その生みの親の暗殺を企てる。
わりと早いうちに、犯人の意図は見抜けたのですが、それも読者にはヒントが与えられたからで、
自治警と同じ立場では解けなかったでしょうね。

本当、アメリカ製のテレビシリーズみたいで面白かったです。

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森奈津子さん

2007-06-14 00:00:00 | 未分類
タイトルも過激なので、文章の方だけに書きますが、森奈津子さんの『電脳娼婦』を読みました。
私といたしましては、15歳以下禁止な内容と思っています。
まぁ、言ってしまえばレズビアン小説というか、バイセクシャル小説ですね。
でも、かなりお笑いの要素が入っているので、ノーマルな人でも楽しめます。
私自身、ノーマルですし。
中でも、『たったひとつの冴えたやりかた』は、そのタイトルでそうくるか?という、
意外性に満ちた内容です。その発想力に脱帽です。

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少年検閲官

2007-06-13 00:00:00 | 未分類
北山猛邦さんの『少年検閲官』を読みました。

何人も、書物の類を所有してはならない。もしも、それらを隠し持っている事が判明すれば、
役人によって、隠し場所もろとも全てが灰にされる。
英国少年クリスは、日本の小さな町で、連続首なし殺人事件に遭遇する。
同時に、町中の家々に赤い十字架のような印が残されるという事件も発生していた。
二つの事件に関連性はあるのか?
他の町からこの町を隔離しているような森に住む「探偵」とは正義なのか悪なのか?
そんな中、クリスはミステリを検閲するために育てられたという少年検閲官エノと出会う。

真相は、あまりにも悲劇的な狂気じみた中にありました。
初めから書物が無くなった世界という設定と、「ミステリ」を知る少年クリスに引っ張られるようにして
読み進めました。
面白かったです。

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やっと、9日遅れで入梅しました。やでやで。
今年の梅雨は短いという話もありますので、節水には心がけたいと思います。

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