こ も れ び の 里

長崎県鹿町町、真言宗智山派、潮音院のブログです。平戸瀬戸を眼下に望む、人里離れた山寺です。

おほがせばし

2010年07月13日 | つれづれ
写真は、三年前に部分的移築をほどこした
「大加勢橋」です。
お寺の西の端にある土手を利用してあります。
石柱には「おほがせばし」と草書で流れるように刻まれています。
大正時代にかけられた石橋ですが、
昭和58年には、町の有形文化財に指定されてました。
十数年前に、河川工事がありまして、
その際に、文化遺産であることからも、
現状の維持が希望されたのですが、
それには破格の予算措置が必要、
(工事の担当者は、何度も設計をやり直し、
どうにかならないものかと努力されましたが・・・)
ということで、
あえなく文化財の指定を解除。
しかしながら、
せめて再建築の可能性を未来に託して、
石材の一つ一つにナンバリングしてもらい、
復元のための設計図も製作。
さらに、石橋の形状に合わせたH鋼をつくって、
復元が容易に手がけられる様準備がされました。
・・・
その後の過程は省きますが、
結局、復元計画は実現することはかないませんでした。

その後の処分は、町の教育委員会に委ねられ、
石材及びH鋼、そして復元設計図は、
山のお寺が預かることとなって、
三年前の部分的復元となったわけです。
移築作業は、地元の建築会社が人件費だけで
取り組んでくれたボランティアでした。
今思い返すと、部分的移築作業とはいえ、
これまでの過程には、たくさんの方の誠意が働いています。
山のお寺にひっそりたたずむ石橋ですが、
一人ひとりの真心と情熱がなければ完遂できなかった復元ですね。

石橋は、時間とともに少しずつ青い苔が覆ってきて、
風格が出てまいりました。
なんともいえぬ、ステキな空間を演出してくれていますよ。

幸いにも、
現存していた頃の写真を、
 知人が残してくれています。
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