カイロじじいのまゃみゅむゅめも

カイロプラクティック施療で出くわす患者さんとのやり取りのあれこれ。

大切な足が痛み出したニョーぼう

2011-02-14 18:21:50 | 本日の患者さん
ニョーぼうが履いている靴下は、先の部分が切り取られ、足の指が自由に動かせるようになっている。
そして、ニョーぼうはその自由になった足指を本当に自由に操っている。

ニョーぼうは脳性マヒ(CP)で上肢の筋肉の緊張が強いため、出来ることに限りがある。
ニョーぼうにとって、ニョーぼうの足はニョーぼうの手である。

人間の祖先が四つ足だったことから、人間の脳には手と足とは同じ分量の神経細胞が配備されている。
二足歩行と靴と整備された道路の関係で、現代人の足指は使われることが極端に減ってしまった。
こんな事情で、足指の動きがぎこちなくなっている。
しかし、その潜在能力はニョーぼうの例が示している通りだ。
樹状突起が連絡を取り合ってネットワークを完成させれば、手指と同じように能力を発揮する。

その、ニョーぼうが右の股関節や足の痛みを感じだし、ニョーぼう、いささかパニック状態に。

整形外科では、脊椎の変形が強く、手術でもしないと、と言われる。

中年に差し掛かっているニョーぼう。
脊椎の変形に伴って、筋肉の強弱や内臓の位置もその変形に寄り添うようにして発達、退行している。
どんな手術を考えているのか分からないが、徳さんはお奨めできない。

まず、現時点で出来ることを考える。

毎日、介助に入っている介助者に簡単な体操をしてもらうように提案する。

仰向けに寝たニョーぼうの左足を折り曲げてもらう。
介助者はニョーぼうの足先に腰を下ろし、ニョーぼうの右足を伸ばすように持つ。
介助者は両足でニョーぼうの左足の膝と足首あたりを支えのように押し出しながら、ニョーぼうの右足を引っ張る。

股関節の滑液の流れを動かすと同時に、股関節周りの筋肉のストレッチとなる。はずだ。

これを一回数十秒の短時間でもいいから、何度も気付いた時に繰り返してもらう。

まずは、基本的で地道な努力が求められている。



思い出したことがある。
昔、身体障害者の施設に勤めていた時のことだ。

その施設では、12本入り、24本入り、36本入りと色鉛筆を一本づつケースに入れる作業をしていた。

ニョーぼうと同じタイプの人がいて、足指で器用に色鉛筆を転がして最終段階の品質検査をしていた。
左足で軽くケースを押さえ、右足で鉛筆の表面を撫でるように転がして検査していくのだ。
傷があったり、色間違いを見つけたら、それを取り出し補充する。
それを、実に滑らかにやっているのだ。

お馬鹿な徳さんが、そんなに簡単なのかと真似をしてみたら、たちどころに足がつってしまって、みんなから大笑いされた。

今では、数少ない、ほのぼのとした思い出となっている。


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