なつの天然生活

うつ病の寛解を目指す なつの暮らし。日々の喜びと悲しみ、美味しいお店、パンやお菓子、小さな庭のこと。

【京都通信】京町屋 吉田家

2005-08-23 | お出掛け

京都定期観光バス、京の夏の旅キャンペーンで「京町屋と公家屋敷をたずねて」という特別コースがあるのを見つけました。これは町屋の吉田家や並河家、公家屋敷の旧九条家別邸拾翠亭を見学したり、俵屋吉富さんや鶴屋吉信さんで京菓子の製作実演を見たり、老舗の京料理店 山ばな平八茶屋でご飯を食べたりという めちゃくちゃ魅力的なコースなんですが、聴覚過敏症、団体行動に困難を伴う私には、ちょっと無理。ということで、このうち一般にも公開されている新町通の吉田家だけ一人で行ってみました。

新町通、室町通は呉服関係のお店が今も並んでいる京都の商業一等地で、たとえば、向かいは松坂屋さん。吉田家も立派な門構えです。内部は観光ガイドの方が案内してくださいました。吉田家は白生地卸商だったそうで、玄関を入ってまず目にするのは、お店として使われていた和室と坪庭。そして、その向こうに家族が暮らしていた和室、お家のご主人の居間だった奥座敷などがあり、その奥は座敷庭、さらに渡り廊下をわたると倉が二つ、そして母屋は2階建てという、とても大きなお屋敷です。今の時期は、襖や障子は全部取り払い、風通しがいい御簾やよしずの戸を使った、夏のしつらえになっていました。床もひんやりするなぁと思ったら、畳の部屋全部に、網代の敷物が。あじろの敷物はとても値が張る物だそうで、こうやって全部の部屋に敷き詰めてあるのは、とても裕福なおうちだった証拠だそうです。衣紋かけには、かわいい刺繍が施された麻の小袖、江戸時代の着物です。風が吹くとふわっと揺らいで見た目にも涼しさを感じるようになっていました。

*奥座敷から通りを眺めて



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階へは、もちろん箱階段で。急なので滑り落ちたら、シャレにならんほど痛そうです。案内のおじ様にも「着物の方、気をつけてくださいね~」と言われながら上がりました。上がりきったら、そこはまた違った空間!

今は、能や狂言の練習に使われているそうで板の間にイギリスのアンティーク家具、テーブルや椅子が置かれた素敵な部屋になっていました。(2階座敷から座敷庭を見て)

 
2階で、久しぶりに記念撮影なぞ。最近同じ着物と帯が多い(=盛夏の手持ちが少ない)ので、今日は帯締めを、市で買った白と黒の2色使いのものに変えています。後ろの飾り棚には、狂言、能の床本や和楽器が入ったような袋が…。

一階に降りると、通り庭(土間)も当時のまま。井戸もそのままでしたが、京都に阪急電車が走った時に水が枯れてしまったそう。都市化はいろんなところに影響を及ぼしているんですね。井戸の横に真っ直ぐに並ぶ、流し、水屋、おくどさん。上を見上げると大きな梁、天井には明り取りの天窓がいくつか。明るい太陽が差し込んでいます。私の中にあった京町屋のイメージは湿っぽい?暗い?は、あっさりくつがえされました。
夏のしつらえをした吉田家は、中庭や座敷庭から光や風が入り、外からは中がよく見えない格子も、室内から見ると外の通りがよく見え、光も入る、程よい明るさのとても気持ちよい、穏やかな空間。 夏の午後、のほほん~と和んできました。

【京町屋 吉田家 特別公開】
平成17年7月23日(土)~9月30日(金)
午前10時~午後4時(受付終了)
入場料:600円