ほとほと通信

89歳の母と二人暮らしの61歳男性の日記。老人ホームでケアマネジャーをしています。

長い一日

2013-08-03 | ほとほと日記
おととい、家で夕食を食べていると、左下の一番奥の歯に違和感を感じた。
やがてそれが明らかな痛みに代わって行ったので「マズイ」と思った。

昨日の朝、職場についた頃から痛みは強くなり、やがて頭がズキズキしてきた。
私は職場の看護師から痛み止め薬をもらい、歯医者に電話した。
そして、何とか「土曜五時」に予約を滑り込ませてもらった。
痛み止めを三錠飲んで仕事は何とか乗り切ったが、帰って来て夕食を食べようとすると、歯に少し触れただけでとても痛く、とても食べられたものではなかった。
「明日の夕方まで持つだろうか?…」


私の懸念は当った。

痛みで夜中に目が覚め、痛み止めを飲んだ。
繰り返し痛み止めを飲んだためか、朝8時くらいまで頭がクラクラしていたが、ズキンズキン…という痛みの脈動は強くなるばかりだった。
寝ても座っても立っても痛い。いつもなら効く痛み止めが効かない。
歯茎がプックリと腫れてきていた。食事は全く取る気にならない。
とにかく時間まで辛抱するしかないのか…。

思いつたのが、落語だ。三遊亭円生だ。

「昭和の大名人」円生には、一席二時間くらいの長講がけっこうある。
それは『円生百席』というソニーから出したシリーズで、私はその壮麗な話芸に感嘆し、一時は良く聴いていた。
ここ数年は全く聴くこともなかったが…、今だ。

私は痛みを堪えながらCDを取り出し、聴き始めた。
『髪結新三』『乳房榎』『札所の霊験』…。
いづれも落語一般を遥かに超えた、歌舞伎の舞台が目に浮かぶような凄まじい話芸だ。
痛みと不安は途絶えることがなかったが、それでも聞いている間、辛さはかなり減じた。

時間が来て、歯医者まで自転車を飛ばした。
虫歯ではなく、歯周病により歯茎が大きく腫れ、被せ物が圧迫したこともあり痛みが出たのでしょう…との診断だった。
銀の被せ物を外し、患部を切開して膿を出した。
処置はとても痛く、大量に出血した。

でも、帰って来るころには、痛みの脈動は治まっていた。
抗生剤をきちんと飲めば、おそらくこの件は治癒するだろう。

それにしても長い一日だった。
そして、痛みがどれほど人間を苦しめコントロールするかを、身をもって再認識することが出来た。

昨日職場にスマートフォンの充電器を忘れてきたため、今は電池が切れ、ネットも通話もメールも出来ない。
でも、良い。
今日は早く休もう。そして明日からの仕事に備えよう。