ほとほと通信

89歳の母と二人暮らしの61歳男性の日記。老人ホームでケアマネジャーをしています。

会食の奇跡

2013-07-30 | 喜び
今日は月に一度の母と姉が私の家に来る日。

掃除が終わってから、いつものように三人で駅近くのレストランに入って昼食を採った。
食べながら、色んなことを話し合った。

私たちのとなりの席で、小さな女の子二人とママと食事をしていた。
妹の方がしきりにお姉ちゃんに話しかけている。
ママは小さい食器に料理を取り分けたりしている。
とても幸せそうだった。

夏休みのためか、店内には親子連れがけっこういた。
そうかと思えば、平均年齢七〇を越えると思われる五人組の女性チームもいた。
皆、肉も野菜もたっぷりと盛られた料理を美味しそうに食べている。

つくづく、家族や親しい友人と一緒に食事をすることこそ人生の最高の幸せなのではないか…と思った。

ついこの間まで、私はそれを認めたくなかった。
そもそも私の家は、家族揃って食事をする…ということがほとんどなかった。
そのまま思春期に入り、色んな面で斜に構えて二十代、三十代、四十代…と後悔だらけの人生を送ってきた。
自分の家族を持つことが出来ないできたのも、「楽しい会食」という光景に屈折した感情を生んだかも知れない。

でも、今、ようやく素直になれた。

去年、ああいうことがあって、それから中々立ち直れなかった。
それが今、屈託なく家族との会食を楽しめるようにまでなったのだ。その喜び。

そして、職場で多く方の亡くなる場に立ち会って来たのもとても大きい。

どんなに食べるのが好きな人でも、最後は必ず食べられなくなる。
それは地位にも資産にも関係がない。
「食べること」と「生きること」はまさしく同義なのだ。
普通に食事出来ることの幸福を教えられた。

まして家族や親しい友人と一緒に食事が出来るというのは、いくつもの幸運が重なって初めて可能なことである。
この真理に気づくことが出来たのも、つくづく幸せなことだと思う。