ほとほと通信

89歳の母と二人暮らしの61歳男性の日記。老人ホームでケアマネジャーをしています。

ある献身

2013-07-16 | ほとほと日記
今日は仕事は休み。
暑さが少し和らいだかな…と思っていたら、最高気温が30度に届かなかったらしい。
いくら夏だと言ってもたまにはこういう日がないと参る。
何となくホッとした。

夜、『ハートネットTV 』という番組で、函館で更生施設を運営している70歳の男性の日々を紹介していて、スゴい…と思った。
対象は刑法犯罪の服役を終えたけれど生活の基盤がない人。
そういう人たちに住むところと食事を提供して、職に就けるよう支援をしている。

例えば58歳の窃盗や無銭飲食を繰り返す男性。
この1年間でも9回の無銭飲食を繰り返し、そのたびに店に謝罪に行き弁償したという。
9回と言うのがスゴい。普通、3回もやられたら、いくら支援するのが仕事と言っても、放り投げ出したくなるのではないか?
運営している男性は、犯罪を繰り返すのは原因があるのでは…と考え、専門医療機関で検査し、知的発達障害があることを突き止めた。
そして今ではパン製造の仕事に就いている。


またある40歳のケースでは、傷害罪の服役を終えて出所するのを車で迎えに行く場面から始まる。
ところがその傷害罪とは、運営する男性に対してのものなのだ。
実刑を課せられるほどの暴力を振るった相手を、更生させるために再び受け入れに行く…というのは本当にスゴいと感じた。
運転する車中で、彼には自分の施設以外には帰る場所がない…と呟きながら。
そしてその40歳の男性にも、過去に経験のある調理の仕事を見つけ(というより協力者から飲食店を譲り受け)、何とか定着出来るように支援する。

静かに話すが物腰の柔らかな、しかし心身ともタフそうな男性だった。
こういう地の塩のような人の存在は、やはり心強い。
そして、まだこの社会も捨てたものじゃない…と感じた。