Studioきのんち

作編曲家でOWLのキーボーディスト 木ノ下達也のブログ

【漢の】Seide PC-VT2000【真空管】

2016-09-30 18:58:10 | 楽器、PC


Seide PC-VT2000と言えば発売当時7~8万はした中堅クラスの真空管マイクですが、何がどうなったのか現在では上から下までブラックな装いに仕様変更され3万強のお値段にまで下落したマイクです。
まあ海外物では輸入元が変わったりとかありがちな事ではありますが、当時からさして悪い評判も聞かないこの真空管マイクがこんなお値段なのですから有難いご時世であります。
当時買った人にとっては腹が煮え繰り返る仕打ちかもですが…
そんなこんなでこちらはモデルチェンジする前のシルバーバージョン

現在は安価と言えどもとはAT4050やTLM102より高価(だった)マイクです。
出音は真空管らしくファットで重心が低く、アナログ感を満喫出来る音色。
しかし、この手の製品に使われる真空管はよく無印CHAINA製が入ってる事が多いのですが、これも開腹してみればご多聞漏れずしっかりMade in chainaが入っております。
もちろんこの標準装備の真空管でも十分真空管テイストは味わえるのですが、替えれるのなら替えてみたくなるのが心情。
とりあえずエレハモの定番的な12AX7に交換してみましょう





レビューを書かれている他の方のブログなどにもある通り、真空管を替えるとやはりまたワンランク上の感触がしますね。
コレはいろんな真空管揃えて遊んじゃいたくなるじゃないですか。

マイクの良し悪しは実際自分で歌ってる時よりそれを編集ミックスしてる時により実感できますが、実際に仮歌入れて編集してみると中低域が濃厚、クリーミィでマイルド、その分高域は大人しく感じますが出てないわけじゃなく昔のレコードやカセットテープのあの感触、そうです昭和な臭いがします。
初めて声を入れた時は、中低域の濃厚さが男声ボーカルには暑苦しいかなと思いましたがフニャフニャで倍音も無い自分の仮歌がやけに漢らしく聞こえます。
もちろんベースとぶつからない様にローカットはしますが、それを切っても濃厚さはしっかり残りますから、これでしっかり芯のある声を出せるボーカルなら漢の色気ムンムンでいけるのではないでしょうかw
もちろんこの音色ですからキンキンなりがちな女声ボーカルでも濃厚なデミグラスソースがまとうが如くソウルフルな色気が期待出来ます。



たぶん自分で歌いながら録音する際にはNT-1の様なハイ抜けの良いマイクの方が第一印象は良いかも知れません。
しかし録った後編集する時にハイのジャギジャギ感ばかりが残ってしまい、且つベースやドラムの帯域を避けて低域を削るとスカスカな中低域だけが残るのに気付きます。
もとから無い部分をEQ等で持ち上げてもやはり不自然であり、コレだけ中低域がしっかりあればEQでどう削ってもちゃんと太さが残ります。

ただ万能で扱いやすいAT4050なんかとは正反対でコクがある故に対象を選びますし、なにせ真空管が暖まるまでは作業に入れないですからちょっとコーラスを入れとこうと思っても電源入れて30分以上は何も出来ませんw
途中でマイク変えてみようと思ってもセッティングしてハイどうぞとはいかないのです。

"今日はコレを使うぞ!"という大いなる決心すら必要なまさに漢なマイクですが、実際は女声ボーカル用にとゲットしたもの。
さっそく明日録音する女性シンガーさんに魂を吹き込んで頂きましょう。