月刊 きのこ人

【ゲッカン・キノコビト】キノコ栽培しながらキノコ撮影を趣味とする、きのこ人のキノコな日常

やぐらたけ

2016-11-12 22:42:04 | キノコ
屋上に屋を架す。キノコに生えるキノコ、ヤグラタケ!

ヤグラタケは他のキノコの傘の上に専業で生えてくるという、珍しい生態を持ったキノコ。
ベニタケの仲間、特にクロハツやクロハツモドキなんかの傘を腐らせるように分解しつつキノコを発生させる。




生態もだけどキノコの構造も変わっていて、なんとこのキノコは傘の裏のヒダだけじゃなくて、傘の上からも胞子をつくることができる。
写真のベージュ色のきな粉っぽいのがそう。厚膜胞子という特別な胞子で、普通の胞子よりも大きくて金平糖みたいな形をしているそうな。なんだか乾燥とかに強そう。

それにしてもクロハツがキノコを作り始めてから完成するまでわずか数日しかないのに、どうやって寄生してヤグラキノコを作るもんだろう。
きっとクロハツがキノコを作り始める前からスタンバっているに違いない。もしかしたら、クロハツがキノコを作る機構だけは生かしたまま、あらかじめ寄生して栄養もぶんどっておいて、そこからスタートさせるのかもしれない。
クロハツがキノコを作ったのを見届けてから、取りついて分解してヤグラキノコを作って・・・なんてしていたら絶対間に合わないもんね。

アオキに専業でとりついて枝を枯らした上、その枝や枯葉の上にキノコを作るアオキオチバタケをはじめ、宿主が生きてるうちから取りついて病害菌まがいの活動をする菌類はいくつもあるので、ヤグラタケがそういう機構を持っていても不思議じゃないと思う。


ヤグラタケっていう名前から考えると、ヤグラなのは本来は腐ったクロハツなわけで、ヤグラタケそのものは、さながら見張りの兵隊ってことになんのか。

うん。おまえらヤグラにたかり過ぎ(笑)