翌日、25日の朝。ホテルの窓からの景色。
見下ろす屋根には雪が。この前こごろうさんが演じられた『不動坊』を思い出します。こんななか長襦袢いっちょで吊るされたら…むっちゃ寒いわなぁー。
…などと話をしつつ、豪華なシャンデリアの下で朝食。泊まっていたのは宝塚ホテル、そしてこれから宝塚歌劇を鑑賞するのです。おお、せれぶなマダムのようじゃ。
演目は『太王四神記』、あのヨン様が主人公を演じて大人気になった韓国ドラマだそうです。いやわたくし寡聞にして何も知らんかったのですが。
大劇場の正面入り口から入っていくと、真っ赤な大階段。さぁ夢の世界に到着です。
今日のコーデ、テーマは『タカラヅカといえば薔薇!』コートと羽織をロッカーに入れて、帯つきで。半衿をBerry工房の薔薇刺繍半衿に替え、帯留は竹蔵龍の薔薇カメオ。ささやかに昨日と変えている、つもり。荷物は減らしたいけど連日同じかっこはしたくない、着物ヲトメごころでございます。
ことりちゃんも帯揚げと帯締めを変えて、爽やかな印象。mayさんは帯を替えています。くっきりと華やかだわ。さすがですわ。
さあ、お芝居が始まります。オーケストラピットからは弦の響きが聞こえてきて、いやがうえにも高まる期待。
幕が上がり、そこは超古代の高句麗。
武力で支配された世を改めようと神の子が天から下って地上の巫女と子をなした。しかし更に続く争いの中、我が子を殺された巫女は怒りと悲しみのあまり黒朱雀になってしまった。その炎はすさまじく、地を焼き尽くす。神の使い青龍・白虎・玄武の力を以ってしても収まらない。やむを得ず神は黒朱雀を討ち、四神の力を封じた。いつか真の王が目覚めるその日まで。
…と、ここまでがプロローグ。ナレーションに沿ってめまぐるしく場面が変わります。目も絢な戦いのシーン、剣を振り回したり、手の先から炎が吹き出たり!おお『かめはめ派』ではないか。「怒りと悲しみのあまり黒朱雀になってしまったぁ!」というところでは、巫女を中心に赤と黒の炎が翼のように燃え上がり…う。なんかツボってしまいました。こ、ここで笑ってはいかん。
さて、物語は数千年後(でも古代)の高句麗。『真の王が目覚めた印』の星が輝いたところから話が始まります。同じ時に王家に生まれた二人の男子。目覚めた四神。四種の神器を探す旅。引き裂かれた姉妹。前世の宿命。愛と憎しみ。
少年時代のタムドク(王の子)とヨンホゲ(王妹の子)が、まっすぐに友情を確かめ合うシーンに目頭が熱くなります。…いずれ憎しみ合うことになるのに、何も疑わないでいるんだ。切ないなあ…。
そう、登場人物たちは皆、愛するにしろ憎むにしろまっすぐでまっとうに生きている。それが、演者の存在感とともにびんびんと伝わってきます。そのものすごい向日性が、汚れちまったわたくしの心の垢を溶かしていくよう。わけもなく、元気が出てきます。
そうして物語の中に入ってみると、男も女もなんて美しいんでしょう。男役はあくまで凛々しく雄々しく。娘役は可憐で艶やかで。主役から群舞のはしっこで踊っている子に至るまで…生きてるっていいなあ、綺麗だなあ。
フィナーレのダンスまで、あっという間の3時間。まさに、夢を見ているようでした。楽しかった!にっぽんちゃん、どうもありがとう~!!
感動とともに…薔薇の園は絨毯も薔薇。
わたくしたち4人、口々に感動を言いながら宝塚の駅までの道を歩き、遅いお昼ご飯を食べてもまだ喋り足らず、ひとり近鉄に乗るはずのmayさんと別れがたくて遠回りしてみんなで近鉄電車に乗っておしゃべりを続け、名残を惜しみつつ旅を終えたのでした。
キモノ着て、落語みて、宝塚みて、おいしい物を食べて、おしゃべりして。たいへん楽しい二日間でした。また行きたいねえ。
今回のメンバーとは5月9日の『小つると鶴瓶のき楽寄席』でもいっしょ、楽しみです。宝塚にもまた行きたいな。にっぽんちゃんおすすめ『エリザベート』はぜひ観たい。いやほんま、楽しいことが沢山で幸せですわ。
公演後の抽選で、主役タムドクを演じた『真飛聖』さんのサイン色紙が当たったのでした。眺めていると感動が甦りますわ。