長田 弘さんの『最初の質問』は、中学国語の教科書にも取り上げられる著名な詩で
つい忘れがちな大切なことを思い出させてくれる、短い質問が並んでいます。
今日、あなたは空を見上げましたか‥から始まり
雲の形や風の匂いを問いかけています。
いい一日とはどんな一日か。
今日「有難う」という言葉を口にしたか。
「美しい」と思うものは何か。
そして何歳の時の自分が好きか、
上手に歳をとることが出来ているか‥と質問は続きます。
世界という言葉から思い浮かぶ風景、
今いる場所で耳を澄ますと、何が聴こえるか。
沈黙はどんな音がするか。
目をつぶると何が見えるか。
今一番したいことは何か。
人生の材料は何だと思うか。
幸福とは何ですか‥等々
矢継ぎ早やに問い掛けられる質問は、簡単な問いなのに返答に窮してしまいます。
如何に日常そのような問題について考えていないかということでしょう。
特に沈黙はどんな音がするかとか、人生の材料は何かとか
哲学的問答には目がパチクリ状態に‥。
慌ただしい日々に流されて思索する習慣を忘れてしまったようです。
せめて即実行出来る「有難う」だけは、惜しまず口にしようと決めました。
高齢者の機能低下は、知能や心理面でも顕著に現れます。
常に自分自身を振り返り、様々な出来事に関心を持ち
問い掛け続けることが人生を愉しむってことなのでしょうか。
そんなことを教えてくれた『最初の質問』でした。