
『世界・わが心の旅 米原万里』
早いもので米原万里さんが亡くなって10年になります。初めて米原さんを知ったのは、1996年放送の
NHK-TV『世界・わが心の旅』でした。少女時代を過ごしたプラハを31年振りに訪ねて、仲良しだった友の
その後の人生から世界を考えるという番組でした。当時の東欧チェコ・プラハの様子や、別れた級友たち
それぞれの生き方は激動の時代に大きく翻弄されたもので、世界現代史の一頁を観る想いがしました。
5年間のプラハ生活から帰国後、米原さんはロシア語通訳として、また作家として多忙な日々を送って
いたようで、時折り国際会議や訪日したロシア要人の通訳として活躍する姿を見ておりました。
「ロシアは今日も荒れ模様」や「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」などのユーモア溢れるエッセイを、今も
繰り返し愛読しています。没後10年、早過ぎた56年の生涯は幾ら惜しんでも惜しみ切れません。
もし健在なら彼女独自の視点とウィットで、現在の世相を何と評したでしょうか。気になるところです。