
毎月2回、介護認定審査会で真駒内へ行くが、いつも気になる老木がある。
中学校の校庭の中央に、青々と葉を茂らせて聳え立っているハルニレの樹。
野球練習時には丁度センターの位置に当たり、多分邪魔っ気な存在だろう。
しかし樹齢300年の老木は、少しも悪びれず枝葉を広げて緑陰を作っている。
昔々から此の地に生きてきたハルニレは、先輩顔して生徒たちを眺め降ろして
いるようだ。聞くところによると、ムササビが棲み付いているそうな…。
300年前と言うと北海道は未開の地、此の辺りは鬱蒼とした森林だったろう。
ハルニレはエルムともいい、札幌には多く見られる樹木。

北海道大学は別名『エルムの杜」とも呼ばれ、寮歌にも歌われている。

黄葉(もみじ)散りしく 牧場(まき)千里
満野の吹雪 叱咤する エルムの姿 壮なれや

意味はよく分からないところもあるが、何処か意気軒昂で勇ましい。
現在も北大構内には広大な緑地が広がり、原始の杜の雰囲気を残している。
真駒内の中学校校庭ド真ん中に、デンと構えるハルニレを見るたび自然への
畏敬の念を強くすると共に、開墾に苦労したであろう先人たちに頭が下がる。