目指せ!映画批評家

時たまネタバレしながら、メジャーな作品からマイナーな作品まで色んな映画を色んな視点で楽しむ力を育みます★

「闇の子供たち」 ★★★★★

2008-11-15 12:30:43 | ★★★★★
ネタバレ注意です。あんまりネタバレする気もありませんが。

とは言え、予告編を見たまんまの映画ではあります。

タイで起こる幼児売春と人身売買を克明に描いたルポ映画でありドラマにもなっています。

出演者は新聞記者として江口洋介、NGO職員として宮崎あおい、カメラマン役で妻夫木聡と、かなり豪華な配役で、 配役だけ見ると社会派映画とは言ってもエンターテイメント志向かなとも思わせるのですが、実際にはかなり突っ込んだ内容になっています。


幼児売春を直接的に描ききるというのは映画に課せられたテーマとしてはいささか重い気もしますが、それを間接的な表現も交えつつ 見事にドラマとしても成立するよう描いています。

阪本順治監督は亡国のイージスの監督だったと思いますが、この映画を制作、公開まで持ち込んだ苦労は並大抵のものではなかったでしょう。

作品全体を通じてテーマが明確であり、役者のセリフや状況描写を通じて監督が伝えたいことが伝わるようになっています。

見終わった後でどうしようもないやりきれなさを感じさせる映画になっていますが、これは正解で、日本人と世界の差違を、特に北ではなく南側の世界を肌で感じられるような仕掛けになっています。

この映画を見て、きもちよく映画館を出ることができてしまったらこの映画は失敗だとも言えます。

そういう意味では、初めからそのことを覚悟して観ないといけないかもしれません。

江口洋介は相変わらずいい演技でしたが、宮崎あおいは配役どおりのキャラクターを体当たりで演じており、八割くらいのセリフをタイの言語で話しており、それもまた見所のひとつといえるでしょう。


幼児売春や人身売買、臓器移植、それらに関わる日本人を克明に、描いています。あまりの克明さに目を背けたくなるシーンもいくつかあると思います。


それにしてもロリコン、ロリコン、などと冗談では言いますが、本当に幼児趣味の方々ってたくさんいるんですね。

富める国々の異常趣味を持った人が歪んだ趣味のフラストレーションをぶつける先にこういった東南アジアの国々があるという事実。 そのシステム。

日本で臓器移植を待ち望む患者と臓器を提供する子どもが生きたまま臓器を摘出される実態、そのシステム。

摘発しようにも、汚職警官が事実を握りつぶし、告発者が消される、その実態。
子どもを売る親と子どもを買う人間。


利権として、労働力として利用される子どもたち。それに群がる大人たち。

事実からは決して目を反らしてはいけないのだと思います。 そういうメッセージをこの映画から感じとりました。

劇中、「気色悪い日本人どもめ」というセリフがありますが、まさに皮肉たっぷりの展開がこの映画には待っています。


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