目指せ!映画批評家

時たまネタバレしながら、メジャーな作品からマイナーな作品まで色んな映画を色んな視点で楽しむ力を育みます★

深呼吸の必要 ★★★★

2007-11-17 02:46:22 | ★★★★
映画が終わったときいつの間にか
涙が頬をつたってました。
沖縄の雄大な海と空とつかの間の心の休息。

この映画、ひたすらにサトウキビを若者が刈る、という
意欲的な作品です。もちろん、ちゃんと
筋があってヤマもあって、それなりに
オチもあるんですが、基本的には常に
サトウキビを刈っている、そんな映画です。

サトウキビを刈っていく間に初対面の若者たちが
お互いのことを知り合って、自分とも
見つめ合っていく間に過去の自分を
乗り越えていく、そういう青春群像劇といった感じ。

あまり饒舌には語らずに、監督が伝えたいことを
上手に登場人物に喋らせていてカット割で
十分に伝わってきました。

音楽と沖縄の情景とそういった監督のさじ加減、
力が入りすぎていない役者の演技に
癒されました。

普段、都会の喧騒に疲れている人に
特にオススメしたい作品です。

長澤まさみが大ブレイク前に出演している
作品でもあり、まだあどけなさが少し残った
姿を見れる作品としてもオススメです。


さて・・・。
私は沖縄に行ったことがありません。
ずーっと行きたいなーと思っていますが、
この映画を観てさらにその気持ちが
強まってきました。

人生にはどうしても何をやってもうまく
いかないとき、立ち止まってゆっくり
考えたいとき、生きていくことに
疲れてしまったとき、があると思うのです。

そんなとき、自分で自分をを普段の忙しい毎日とは
ちょっと違う環境に放り込んでみると
、意外とそれまで悩んでいた悩みが
小さな悩みだったことに気づいたり、
生きていくことの意味、自分が好きなことが
わかったりするのだと思います。

私も大きな失敗をしたとき、大きな不安があるとき、
心のバランスを保ちたくて、もがいたりします。

でも、その場でいくらジタバタしたとしても、
いい結果を生むことはあまりなくて、
思い切った発想の転換が必要だったり、
当たって砕けてしまったり、することが
必要なんだと思います。

古きよき時代の地域社会が崩壊した現代だからこそ、
古きよき時代の家族的な暖かさに
癒されたりもするのだと思います。

農作業は本当に単純作業の繰り返しで、
実際、天気との戦いがあったり
冷害や水害、風や鳥獣害があったり、と
必ずしも平坦な仕事ではありません。
頑張ったから平均して報酬が得られる、という
そういう世界の仕事ではありません。
頑張ったとしても、不作であれば収入はないし、
豊作であれば収入になる、そういう世界です。

この映画ではそういった厳しさも
匂わしつつも、若者たちには単純作業・共同生活を
通して得られる達成感であるとか、連帯意識を
積極的に描いています。だから、現実には
あんなにやさしい農家の老夫婦はあんまり
いないと思いますし、実際はもっと
殺伐とした現場だと思います。

だから、この映画を観たからと言って実際に
沖縄のサトウキビ農家で
同じような体験ができるか、というと
決してそういうことではないでしょうし、やはり
映画の世界は映画の世界のフィクションがあり
そこが映画の持ついいところ・魅力なのだと思います。

それでも沖縄に行きたくなってしまった私は
少し毎日の生活に疲れているのかもしれませんね。


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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
はじめまして。。 (達ちゃん)
2008-02-02 00:42:48
はじめまして。
勝手ながらTBさせて頂きました。

「深呼吸の必要!」
いいですよねぇ。
私は映画館で3回も観ました。
ブログを始めてから、この映画の記事を3回目書きました。
それぐらい気に入ってる映画です。

深呼吸は必要だと思います!

あっ、申し送れました。
私は、浅草を中心とした下町グルメを書いてます。
でも映画の記事も時々書いています。

よかったら、一度遊びにいらして下さい。

おじゃまいたしました。
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