田母神ブログ
2013-07-26 12:48:39
アメリカ信仰から抜け出そう
国際政治の本質は富と資源の分捕り合戦である。第二次大戦までの世界では、軍事力を直接使って富や資源を分捕りに行った。しかし第二次大戦終了後は軍事力を直接使うことは困難になった。その代わりとして情報操作をして、ウソ、デマ、捏造の情報を流す、自分の国が得をする国際システムを作る、条約を結ぶなどにより、一応、相手国も合意をさせて、合法的に富や資源を分捕るということが日常的に行われている。現代は情報戦争の時代なのである。
我が国は、この情報戦に大変弱い。
「富と資源」ということで何を指すかわからないが、とにかく、自国に有利なように情報発信合戦があり、日本が、情報収集、分析、発信のすべてにおいて、負け続けていることはたしか。
我が国には「うそつきは泥棒の始まり」という格言がある。日本人の間では、嘘をつくのは絶対に悪いことなのだ。しかし国際政治の場では嘘に騙される方が悪いのだ。国内ではお人よしでも十分に生きていけるが、国際社会ではお人よしは騙されるだけである
これは例えば、米国に限って言うと、事実無根だ。それこそ嘘だ。例えば、アメリカ人は嘘は滅法嫌うのである。彼らは嘘つきといわれると全人格を否定されたかのように憤慨する。
サンデルだったと思うが、嘘をついてはいけないというカント主義の格率が通用するが、しかし、すべてのことを言わないことは、この格率に抵触しない、といった記事を書いていた。
彼らはそれをやるのだ。慰安婦問題でも日本を非難する。NYTなど含めて、アメリカのメディアは米軍も同様に基地周辺、あるいは、戦場で性奴隷を搾取したことはいわない。
かれらにとって、すべてを語らない、ということは積極的に嘘をつく、とは異なるのである。後者は不正だが、前者は不正とはいえない、と思っているのである。
また、彼らの本音と建前の使い分けは日本人以上に徹底している。日本人はたてまえを通すべきところで、腹をわって、本音で、などとやってしまうから、かえって痛い目にあうのである。
彼らには、彼らの米国中心主義的狭い視点を指摘し、より大きな文脈、よりグローバルな問題提起でもって対応すべきだ。
韓国に関しては、嘘でも本当でもどうでもいい、bullshit ばかりまくし立てる。これには、真実でもって対応すべきだ。
我が国は、日米安保 によって守られており、いざとなったらアメリカが守ってくれるのだと思っている日本国民は多い。しかし、残念ながら日米安保は我が国が攻撃を受けたときに、アメリカが自動的に戦争に参加して守ってくれることは決めていない。日本を守るか否かはアメリカの自由意志にまかされている。だからアメリカ大統領が日本を守ると決心して、米軍に行動を命じなければアメリカ軍は日本を守るために行動できない。そして大統領が決心をしても、二ヶ月経つとアメリカ議会の同意を必要とするのである。しからばアメリカ議会がいつでも日本を守ることを議決してくれるか。反日法案が年中成立するアメリカ議会にそれを期待することは無理である。だから日米安保はあくまでも抑止のためのものでしかない。抑止が破綻したときは機能しない確率が高いのである。しかし多くの日本国民はそのことを認識していない。
反日法案が年中成立するとは言えまいが、慰安婦関連決議、アメリカメディアの動向などをみれば、まさしくその通りであろう。
アフマデネジャド大統領は、国連で演説もした。きちんと自分の信念を述べている。あれは気狂いではない。だから金正恩やアフマデネジャド大統領が気狂いだ、何をやるかわからないというのは報道によって作られた虚像なのではないか
英語圏報道ではこんな発言はタブーであろうが、大方あたっているのではないか。
いわゆる西洋の基準からすれば、民主主義や人権の重視において足りないところはあろうが、狂犬ではない。
日本が第二次大戦までの世界で、アジア諸国を侵略し、多くの国に迷惑をかけたというのも、戦勝国アメリカによって情報操作され、日本国民に植え付けられた嘘である。日本はアジア諸国を侵略したのではなく、白人国家の植民地であったアジア諸国を解放したのだ。大東亜戦争は、アジア諸国の解放戦争だったのである。これは欧米の歴史学者の大勢が言っていることである。しかし、第二次大戦後の日本では、アメリカが原子爆弾を落として、東京大空襲をして無辜の日本国民を大量に殺害したことも忘れ、アメリカによって民主主義を与えられたと、多くの日本国民が思わされている。
アメリカでは、アメリカは世界を救うために第2次大戦に参入した、という嘘がまかり通っているが、それど同じ類の日本の一部右翼の間だけにまかりとおっている嘘である。
結果として、反植民地運動はおきたし、一部、日本の軍隊が支援したこともあったが、総体的には、日本は、白人に代わる横暴なボス面した植民地主義者、帝国主義者であったに過ぎない。
日本の右翼の過ちは、アメリカの右翼や、主流のメディアが自国の侵略を正当化しているように、日本の侵略を正当化しようとしていることだ。
むしろ、日本の過去の過ちを認めて、同じ基準を戦勝国にぶつけて、戦勝国を批判することによってのみ日本は情報戦に勝利できるのである。
総理大臣になった村山富一なども全く騙されており、例の村山談話 などを出すことになった。これがいまの日本をどれほど苦しめているのか分からない。
村山談話で、日本はかなり助かっているのだ。
国際社会の情報収集、分析ができていないのではないか?
当たり前のことであるが、アメリカが、心底、日本の発展を考えることなどあり得ない。アメリカはアメリカの国益でしか動かない。
アメリカは 主にアメリカの国益でしか動かないが、クリスチャン的伝統であろう、施してやっているという意識は強いものの、人道上の立場から動くことも多い。
アメリカ発の市場原理主義、株主資本主義、規制緩和なども、この二十年間、絶対に正しいとされて日本型社会を壊すために利用されてきた。小泉純一郎や竹中平蔵は、アメリカの尖兵として、日本ぶち壊しのために徹底的に利用された。二十年前よりGDPが減っている国は日本だけだ。アメリカは絶対に正しいと信じ込まされて、遮二無二アメリカに迎合してきた結果である。この十数年我が国は、デフレ下でデフレ対策をやらずに、インフレ対策をやってきた。デフレが加速し景気は全く回復の兆候を見せなかった。しかし安倍総理は、デフレの真の原因に気がついた。デフレは第二次安倍政権の下で次第に修正されていくことだろう。それにしても二十年間も騙され続けていた。
アメリカから圧力があることは確かだろうが、これは陰謀論の粋をでない。
核兵器は徹底的に防御用の兵器なのである。
専守防衛にはうってつけの兵器であるわけだ。
アメリカが恐れているのは日本の核武装なのだ。日本が核武装をして国際社会で発言力を持つようになることがアメリカにとっては大変に困ることなのだ。
これは一理ある。
アメリカの狙いは北朝鮮の非核化ではない。この協議によって、日本が核武装を言い出すことがないようにすることを狙っている。
日本が、というか、アメリカ優位の現在の秩序をどうしても守りたいのだろう。
もうそろそろ日本国民も、アメリカ信仰から目覚めなければいけない。アメリカは、アメリカのためにだけ行動する。そしてアメリカは、よく間違いをする国だということを認識すべきである。
アメリカのためだけにとは限らないが、よく間違いをするというのはその通り。
どの国でも間違いを犯すものだが、アメリカの間違いは、安易な武力行使により、無辜の市民を殺害しながら、何の咎めもうけない、から、たちが悪いのである。 日本のナショナリズムが、国内外から批判をうけて軌道修正するのと対照的である。
極めて自省的で、自己批判的な評論家がいるものの、アメリカの大手のメディア、要するに、大概のインテリもそれを良しとしているのである。