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http://www.tkfd.or.jp/research/project/news.php?id=1160 … 【書評】柳澤協二『検証官邸のイラク戦争 ―元防衛官僚による批判と自省』(評者:細谷雄一)
mozuさんがリツイート
終章「新たな戦略思想を求めて」では、冷戦終結から民主党政権成立に至るまでの期間の、とりわけ9・11テロ以降の時期の著者の経験に基づいて、日本が今後検討すべき戦略思想が語られている。とりわけ、その中心を占めるのが、アメリカとの同盟関係である。それを著者は「倒錯の同盟」と呼び、「イラク戦争支持を決断した最大の動機が日米同盟の維持であり、そのこと自体で政策目的を達成してしまった」ことに批判的である。そして、著者の述べる「戦略思想」が、終章の最後の一文で、端的に示されている。すなわち、「日米同盟だけに頼らない戦略的思考軸と、その前提となる日本の国家像が必要な所以である。」
戦略上の最大の目的は、最小限、日本の領土、領海、領空を他国の侵害から守り、以って国民の生命を守ること、国民の生活を守る という意味では、海外に在留する国民の安全や、、
シーレーン防衛もその目的のなかにあろう。
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本来選ぶべきは、「平和を国威よりも優先する価値観とし、戦争を否定することによって『国際社会において名誉ある地位を占め』ようとした日本」であった。他方で、実際に日本が選んだ道は、「戦後の平和国家としての自己認知を否定し、アメリカと軍事リスクを共有することによって国威を高め、国際社会における『名誉ある地位』を目指す日本」であった。
著者は、「平和国家」を「無駄な戦争」と対置させ、「国際社会における名誉ある地位」を「アメリカとのお付き合い」と対置させる。
平和が最大の目的であって、国威はそれに使われるべきであろう。チベットなどは、侵略戦争に対抗する軍事力を持たないから、残念ながら、いつまでも、国際社会において名誉ある地位が占められないどころか、滅亡の危機にさえある。 そんなチベットを平和を志向する社民党も、日本共産党も口先ではいろいろ言うかもしれないが、誰も救ってはくれない。国威をもって平和に仕えさせるべきである。
日米同盟を深化・強化することは、国威を高める。しかし、国威のために平和を犠牲にすべきでもない。アメリカと同盟関係にあることで、平和を維持できることもあろうが、しかし、アメリカの不正の戦争に巻き込まれて、国民を危険にさらすこともある。
また、北朝鮮と韓国の戦争、中国と台湾の紛争で、在日米軍のせいで、日本が標的の危険にさらされることもあろう。
さらに、アメリカ兵の犯罪を見逃し、アメリカの傲慢な二重基準の押し付けを飲まなくてならない。
そして、アメリカに物申せない日本の保守は見苦しい。
もっとも、日本の現状から言って同盟離脱を即刻せよ、というのは無理だろうし、アメリカもなかなか手放すまい。
ただ、今後、見捨てられることもあるし、見放すことを含意して脅されることもでてこよう。そのときに備えた体制を整えるべきである。