再び原点回帰なり!

未熟なビジネスマンの心のつぶやき

FESCO十年の歩みを振返って(17)

2007-09-15 07:07:26 | 連載・FESCO十年

FESCO成長の軌跡(2)

1997年の創業から4年間は、経常赤字から脱却できなかった。当初の事業計画では、単年度黒字化は、遅くとも4期目であったので、正直言ってショックだった。

「省エネ(顧客指向型)ESCOだけでは、会社は継続できないのではないか」

そんな不安と焦りも感じ始めたころであった。

ただ、今振返って結果として言えることは、「苦境の抜け出す答えは必ず現場にある」という格言の正しさである。

それまで一生懸命に行ってきた工場の省エネ総合診断によると、それも工場の規模が大きければ大きいほど、ある一つのことが分かってきた。

その工場において大幅な省エネやCO2の削減と経済的にバランスできる方策は、木目の細かい「需要側の手法」ではなく、大胆な「供給側の手法」しかないという事実である。

つまり、エネルギー消費量を削減させるという本来の省エネ方策のみにこだわっていると、なかなか顧客の要求に応えられないし、かつビジネスとしても魅力に乏しい。工場を稼動させるためのエネルギーの調達の仕方が適正なのかどうか。そのような工場全体のエネルギーバランスを見るという視点の重要性が分かってきた。

「コージェネレーションシステム」

そのように呼ばれる熱電併給型分散電源によって、工場の敷地内で自家発電を行い、その発電によって派生的に生じる熱を蒸気やお湯に変えて、生産プロセスや工場空調に有効活用する。

これによって、大幅な省エネとCO2削減は可能になり、かつ経済的にも買電と比較してトータルで安価になる。案件によっても差はあるが、少なくとも10%から大きければ30%というような削減率となる。

まさに「環境と経済を両立」させるエネルギー効率化の「エースで4番バッター」ということになる。

この手法をESCO方式、つまりシェアード・セイビングス契約によって、顧客に初期投資負担をさせることなく、ESCO事業者がコージェネ設備を所有し、電気と熱を工場に供給する。

この方式が「供給側ESCO」と位置づける顧客事業所における「自家発電代行事業」または「オンサイト事業」と呼ばれるビジネスモデルである。

創業4年目頃から、この種の顧客ニーズに対応すべく、省エネESCO事業の営業体制を徐々に転換させていった。その効果が収益面に出てきたのが、5期目以降であり、創業5年目にしてやっと単年度黒字化に成功したのである。

実は、このビジネスモデルが急速に拡大したのには、もう一つ大きな理由があったが、その点については、次回に詳述したい。


「ハイコンセプト」(ダニエル・ピンク著)のお薦め

2007-09-10 10:54:59 | 読書感想
ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代 ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代
価格:¥ 1,995(税込)
発売日:2006-05-08

日本訳本の副題は、「新しいことを考え出す人の時代 - 富を約束する6つの感性の磨き方」。訳者は、あの大前研一氏である。

本書はアメリカでは、発売と同時にビジネス部門で評判になっているらしく、第三の波としてアルビン・トフラーが紹介した「情報化社会」の次に来る「第四の波」として、ビジネスパーソン必読の新しい生き方を紹介している。

著者のダニエル・ピンク氏は、前著「フリーエージェント社会の到来」でも、新しい働き方(フリーエージェント)の時代の到来を予言しており、私も個人的にはまったく賛同でき、かつ今後のビジネスマン人生において、ぜひとも実践してみたいと思っている考え方でもある。

また、同書では、「新しいことを考え出す人」になるために、「デザイン」「物語」「全体の調和」「共感」「遊び心」「生きがい」「6つの感性」を磨くべきだと提言しているが、そのこと自体にはまったく違和感なく賛同できるが、その6つの感性についての本書での論述には、若干物足りなさも感じた。

むしろ、われわれ日本人の方が、これらの感性をより深く持ちうる遺伝的な素質があるのではないかとさえ感じた。

いずれにしても、新しいことに挑戦したいビジネスパーソンは、一度目を通しても損はしない書籍であろう。


FESCO十年の歩みを振返って(16)

2007-09-09 09:55:53 | 連載・FESCO十年

FESCO成長の軌跡(1)

1997年の創業から10年。FESCO成長の軌跡を追ってみたい。

10年経過した現在のFESCOは、「3つのESCO」の融合体となっている。

第一を「顧客指向型ESCO」と呼び、所謂、省エネ支援サービス型のESCO事業である。第二が「環境再生型ESCO」で、バイオマス発電を中心としたグリーンエナジー事業。第三が「市場取引型ESCO」で、電力小売事業である。

2007年6月期の決算は、まさにこの3つのESCO事業の全貌が現れ、売上高も100億円を超えるまでになった。

ここに至るまでの歴史を振返ってみると、創業から4年目までは、第一のESCOである省エネ支援サービス事業を行ってきた。対象顧客としては、大手工場における省エネ診断や省エネ方策の導入工事、また自治体施設における省エネ改修事業などが中心であった。ここでの事業は、あくまで顧客のエネルギー消費を減らす方策の提案に終始していた。

このような事業は「需要側ESCO」と位置づけることができ、省エネ指南会社としてのある意味基礎体力づくりを行ってきたことになる。

売上も一年目の8千万円から、二年目の2億7千万円、三年目の4億2千万円、四年目の8億円と拡大してきた。

しかしながら、売上は順調に伸びてきたものの、利益的には省エネ診断や小型の改修工事だけでは、なかなか収支が合わず、事業の黒字化が見えない苦しい状況でもあった。

「なんとか現状を打開する妙案はないのか?」

そんな苦悩から生まれたのが、「供給側ESCO」と位置づける顧客事業所における「自家発電代行事業」または「オンサイト事業」であった。


東農大での2日間の集中講義

2007-09-07 19:10:23 | チャット

東小金井にある東京農工大工学部にて、56日の2日間集中講義を行いました。ここでの非常勤講師も今年で4年目。だいたい8月の終わりから9月の初めの年1回の恒例イベントです。ただ、昨年までは1日4時間だけだったのが、今年からはなぜか2日間となり、計8時間という講義する側としては、結構しんどいものでした。

相手は大学院修士または博士課程の学生さん30名弱。中には、私よりも年配と思われる社会人ドクターの方もいらっしゃいました。講義名は、「アントレプレナー特論」

もちろん、毎年学生側も変わりますが、講師である私の立場もいろいろと変遷しており、マンネリ化することはありません。

最初の3年前は、半年後にFESCOの上場を目指していた頃。2回目の2年前は、上場したばかりの浮ついていた頃。3回目の昨年は、上場後初の通年決算で大赤字を出し、半月後の株主総会をどう乗り切るかが最も気がかりだった頃。そして、4回目の今年は、社長を降りてある意味冷静にFESCOを分析できる立場

当然、その時々の自分の置かれた立場によって、話の内容も話し方もすべて違ってきます。

やはり今年の話が、最も中身が濃かったかも、と自画自賛しています。もちろん、通して聞いた人がいるわけではないので、誰も反論する人はいないはずですが。

失敗や挫折は、人間を成長させるというのは本当でしょうか?そうあって欲しいとの願いも込めて臨みました。


9月になりました!

2007-09-03 14:13:40 | チャット

暑い夏もやっと9月になり、朝夕は少しだけ涼しくなってきました。学生達も長い夏休みを終えて、今日から出校。電車の中で、眠そうな雰囲気の子が多かったようですが、新しいことが始まる日というのは、どこかウキウキする雰囲気を感じるのは私だけでしょうか。

私も9月1日付で、ほんのちょっとだけ新しいことを始めました。

以前、このブログでも「手作りビジネススクール」として紹介しましたが、そこを主催している会社の「顧問」となりました。その会社は、社長一人で日本一のビジネススクールにすると頑張っているところです。

池袋ビジネススクールURLhttp://www.wildbearcorp.com/index.htm

今後、あくまでプライベートの範囲内で、私も微力ながら講師の役割や新しい企画づくりに参加して、彼を応援しようと思っております。

このブログでも新企画等を逐次紹介していきますので、よろしくお願いします。