再び原点回帰なり!

未熟なビジネスマンの心のつぶやき

政府のエネルギー・環境会議の行方は?

2011-08-07 05:36:41 | コラム
「福島原発の事故の反省を踏まえて、エネルギー・環境戦略を再構築する。」

こう始まる政府主催の「エネルギー・環境会議」の中間報告が7月29日に発表された。

そもそもこの会議とは?以下に政府の発表文章を記す。

「革新的エネルギー・環境戦略を検討するに当たり、新成長戦略実現会議の下に分科会として、国家戦略担当大臣を議長とし、関係閣僚の参加する「エネルギー・環境会議」を開催する。そして、エネルギー・環境会議において、関係府省を束ね、政府部内の効果的な意思決定を図る。」

この中間報告(「中間的な整理」と表現されているが)の構成と中身は、課題認識、戦略の視座、戦略の基本理念と続き、6つの重要課題の論点整理、戦略実現に向けたスケジュールとなっている。

6つの重要課題とは、①省エネルギー、②再生可能エネルギー、③資料・燃料、④原子力、⑤電力システム、⑥エネルギー・環境産業となっている。

また、今後の電源構成を考える上で、上記とは別に発電コストを再検証・再試算する委員会「コスト等試算・検証委員会(仮称)」を設置することとなっている。

以上の政府の発表を私なりに総括すると、本当にこの通りに検討が進み、それぞれのテーマに一定の方法性が出され、それらが個別の具体的な政策としてまとめられ、今の制度を変革するための法制化がなされるのであれば、実にすばらしいことだと感じた。

本来なら、大震災や原発事故などがなかったとしても、この種の正論的かつ真っ当な議論がなされるべきであったとも思う。20年近くこの分野で戦ってきた一兵士としては、またしても外圧でしか動かないこの国の在り様を嘆くと共に、その状況を許容してきた自らのふがいなさで忸怩たる想いでもある。

一方、首相の退陣3条件などと、低レベルなことで政策の可否を議論している今の政府の在り様にも、ほとほと愛想が尽きており、さまざまな会議の報告書は形式は美しく勇ましい文言だけが踊っているだけで、こんなていたらくな政府に中間報告のような大改革はできないだろうという予想もできる。

近々、総理もその他の大臣も総入れ替えになるであろうが、果たして、この中間報告の継続性は担保されるのであろうか。容易に予想されるのは、守旧派による巧妙な骨抜き戦略が実行されることであろう。

そのぐらいもしこの戦略が実現されれば、既得権益を失い、痛みを感じ、血を流す者が多く出ることになる。だからこそ、政治的なリーダーシップが重要になるが、またしても大いなる失望感を味わうこととなるであろう。

これが政権交代後の2年間から得た私の経験知でもある。

ではどうすればいいのか。

少なくとも国家的なテーマとして、今まで封印されていた重要な論点が提示されたことだけは、評価できるのであり、後は、私たちのようなエネルギー・環境ビジネスの直接の利害関係者が一つ一つ地道にその実現に向け戦っていくことしかないのではないか。

その道のりは果てしなく遠くも感じるが、もう国や公共に頼るのは止めたい。自分達のことは自分達で守り、そして戦い、そうした小さな行動を草の根的に広げ、世の中を今より少しでも良きものとする。

このことが今の自分にできることであり、できることをやり続けるしかない。中間報告を見て、その覚悟を新たにしている。