稽古なる人生

人生は稽古、そのひとり言的な空間

№128(昭和63年2月25日)

2020年08月18日 | 長井長正範士の遺文


タ行はサ行の神に対して人間独自の科学性です。
タは生活の気異本で田です。他も人也で必要なもの、体、胎、態、胆、誕、炭などです。チは地、血、乳で、それなしでは生きられないもの。又、生きるにはそれを知ること、智、恥、知です。ツは津の液、津々と溢れる液体、目に涙、口に唾、まじりけのない精液、つまり代用品がない、あるいは、他のもので間に合わないものが、痛、面(ツラ)、尽付、頭など。テは手。ずばり人間独自のもの、それに関連して、貞、帝、哲、伝などが属します。トは戸、土、都で、人間にとって大切なもの、陶、湯、稲、豆、藤、頭、悼、灯、刀、努など。時には吐も大切であり、“堵に安んずる”暮らしは大切です。

ナ行は軟で、やわらかで、近松の軟派文学の主人公は男と女(なんにょ)であります。
以上、今のところ、ここまでしか追求しておりませんので、一覧表に仕上げるところまで煮詰めていませんが、皆さんも折りがありましたら、つれづれに研究されると面白いと思います。

さて面白ついでに申し上げますと、この五十音図を検討しておられるお方があります。その方はナ行で切って五十音を二つに分けると面白いとアドバイスをしてくれました。
ここで分けると、笑いの文字が出てくるというのです。アハハ、イヒヒ、ウフフ、エヘヘ、オホホと、ア行とハ行とを組み合わせると、笑いの声になります。人間の笑いの中には意味があります。アハハは豪快で何も屈託がないから、疑う余地がありません。ほがらかに笑っているのですから、あの人はいい人だとすぐわかります。イヒヒと言われると、いろいろ考えさせられる。なんであの人が笑っているのかという疑問が、この笑いの中にあると言われます。又、ウフフと言われると、何か腹黒いところあるのと違うかな、と思います。エヘヘ、オホホと笑われると、バカにされたようで、笑いながらも、笑いがどこかに消えるような、そういうイメージを受けるものです。・・・・とうまいこと表現されて、誠にほほえましく感ぜられます。

◎永字八法のこと。私の小学校五年、六年の時に習字の大変上手な遠藤という先生に特別に習字を習ったものです。流儀はメイカク流で、丸みのある大らかな筆勢の字でした。その頃わけのわからぬまま、永の字を毎日よく書かされたものです。今日、これを懐古して、なるほど、たいがいの字の筆のつかい方が、皆、これに含まれている事がよくわかり、私の忘備録をひもといて次に書いておきましょう。

〇筆の八方の名称

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