渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

ドラマ『運命の人』(2012年)

2021年03月19日 | open



ここ10年のTVドラマ作品で一番
見応えのあったのが2012年の正月
明けからTBSで放送された『運命の
人』だ。
日本の沖縄返還、非核三原則について
真実を暴こうとした一人の新聞記者の
物語。実話だ。
よくテレビで放送できたものだと思う
が、事件から40年が経過したからか。

日本の非核三原則は大嘘だった。
米国艦隊が核兵器を持たずに日本の
基地に入港している筈がない。
また、沖縄の基地無し本土並み復帰
などは絵空事だった。
日米首脳間には国民に秘匿していた
密約が交わされていた。
それをある新聞記者が暴いた。
外務省内部の職員からの重大機密
情報のリークがあったから証明でき
た事だが、この職員はもとより、
この記者も国家権力によって裁かれて
処分を受けることになった。
これがリアルな現実。

歴史とはいつの時代も権力者のごく
一部のみが歴史の真実を知り、そして
「作った歴史」を表向きの「公式」
とする。国家の歴史に謀略無き国は
地球上では見たことがない。
国家権力を掌握するのは機械では
なく人間だが、悪魔に魂を売り渡した
ような者でなくば、国家権力の中枢
にいることなどはできないだろう。
アメリカ合衆国などは謀略国家の
典型例だ。大統領はボコボコ暗殺
されるし。
国家権力の実体は、選挙で選ばれた
議員=大統領や首相ではない。
国家権力の実体を構成する部分に
は選挙などは無い。
そして、基幹産業と暴力装置を
実質的に掌握した者が国家権力
の実体となる。議員などは関係
ない。
教科書に書かれていることが全て
本当だと思い込んでいるとしたら、
よほどのお人よしだ。

但し、高等学校までの試験などで
良い点数を取ろうとするならば、
運転免許試験の適性検査や学科問題
と同じく、「決められた答え」を
書けば高得点も取れるし、歴史や
倫理社会などは満点も取れる。存外
簡単な事だ。
本当の真実などは関係ない。「決め
られた回答を模範的に記述する」の
である。それだけだ。
大学受験まではその方式でないと
試験などでは良い点数は獲得でき
ない。これは学力とは異なる。
決め事を外さずにどれほど記憶して
正確に記述できるかどうかの能力
をみるのが本当の試験の機能と
なってしまっている。
本質的には、歴史教育や社会科
などはそれでは全く意味がない。
現在の機構の中では、日本史や世界
史、倫社などは、拮抗する学説など
を論じてはならないのだ。決め事を
決まったように回答して記す、のみ。
自ずと、そんなものは真の学問では
ないことは明白だ。
本当の学問を探求できるのは、大学
入学以降ですね。日本では。
特に人文系は。
一方、理系や自然科学は高校まででも
充分に学問的内実を持っている。
人文科学系は、高校までは国定教科書
の「決め事」をなぞらえるだけで、
学会での学説の吟味や学問の真理探究
などとは対極にある。
そして、日本の歴史教育にあっては、
「考えさせない頭」を作らせようと
する機能が動いている。
考えずに、決めつけられた事だけを
覚えるのが歴史科目の教育の実態
になっている。
また、教師も、国から指図された
通りに生徒に覚えさせないと排除
される。
日本の高校までの歴史教育はそんな
ものだ。番号合わせの神経衰弱の
トランプゲームとさして変わらない。
学問の自由と学府の自治、学問の
真理探究が真に保証されている教育
過程は、大学以降しか存在しない。


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