渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

映画『幕末』(1970)

2022年01月25日 | open

『幕末』(1970年)
 
日本映画の父、伊藤大輔監督の
作品。
非常に良い。
何が良いか。
原作は司馬遼太郎だが、まず
司馬遼太郎の世界を描き切って
いる事。
それと、映画として、やはり
さすがは伊藤監督、隙が無い
撮りをしている事。
役者の善し悪しを引き出すの
は監督の手腕だ。
映画は全員で作る物だが、いく
ら役者が奮闘しても、他のスタ
ッフが頑張ろうとも、未達に
終わる。
全ては監督次第だ。
本作、傑作なり。
中村錦之助が坂本龍馬を演じ、
仲代達矢が中岡慎太郎を演じる。
原作もかつて熟読し、本作も久し
ぶりに観たが、やはり良い作。

この作品の前にも後にも出鱈目
拳銃が出て来る中、本作ではリ
アルに龍馬が長州の高杉から貰っ
たS&Wのモデル2が出てくる。
.32口径リムファイア6連発だ。
龍馬は寺田屋でそれを幕吏の
強襲時に現場に捨て去った。
その後は、やはり高杉から貰っ
ていたS&Wのモデル1の.22
口径7連発を愛用していたと
伝わる。
中村錦之助さんはクレー射撃も
やるガンマンなので、発射の際
には一切目を閉じない。
 
劇中のステージガンは小道具さん
が精巧に製作した物だろう。
もしかすると実銃かも知れない。
1980年の法改正以前は、古式銃
はかなり輸入されて、美術品登録
で所持が出来た。
だが、法改正により慶應3年以前
に国内に存在したパーカッション
モデルしか登録所持が認められ
なくなった。
その後は、埋もれていた旧家等
から発見される物以外、新規登録
は絶滅した。
かつて、松本零士先生が、作品
の中でコルトポケットリボルバー
は国内に2丁のみ現存する、と
描いていた。
そのうちの1丁について、今から
20年ほど前に所有者から私に連絡
があり、お子さんの大学進学の
資金作りの為に買ってくれない
かとの話があった。
実は国内残存の2丁はどちらも
その神奈川の方が所有していた。
偶然は恐ろしいもので、私が子ど
も時分に住んでいた家の近所に
お住まいの方だった。
なぜ面識の無い私にかというと、
当時私が公開していたコルトSAA
等のサイトを読んで、どうせ譲る
ならば銃をわかって大切にして
くれる人にとの事で持ちかけた
との事だった。
たまたま、その時には私は家族の
事情でその方の提示金額を支払う
事ができなかった。
なので、懇意にしていた九州の
モデルガン研究者の方を紹介した。
するとその九州の方のツテで、
購入希望者が即みつかり、大喜び
で購入し、大切にされていると
いう。
残りのもう1丁は、その神奈川の
所有者が所有保存したままだった。
その売却された実銃コルトポケット
は、その九州の研究者の方のサイト
で今でも閲覧する事ができる。
お借りして、丁寧にレポートページ
をアップしてある。
かつての私の渓流カフェ内のガン
もどきのサイトページも、そのよう
なページだった。
20年強前の当時はそうしたサイト
あまりなかったので、銃とトイガン
好きの方に多く読まれていた。
しかし、完璧な究極サイトを作る
方が登場したので、私はそちらに
サイト活動の意義を譲り消極的に
なった。そのサイトは今や国内で
は無くてはならないサイトと集団
となっており、幅広く活動して
斯界の発展に寄与している。
 
本映画作品では、残念な事に弾丸
詰め替えの時、龍馬が持つ銃の
シリンダーにノッチが無い。これ
ではシリンダーは回転しないので
非現実的だ。惜しい。
だが、モデル2を映画に登場させた
だけで、1970年時点では賞賛もの
だろう。
 
ちなみに黒澤明の名作『用心棒』
(1961)でも、仲代達矢が演じる
上州のヤクザがS&Wの拳銃を
使っていた。
この事から、『用心棒』の時代は
最幕末である事が理解できる。



このクロサワ映画無くば、今の
クリント・イーストウッドは
いない。

それにつけても、映画『幕末』
での24才の吉永小百合さん
演じるお龍の綺麗な事よ。
綺麗というより美しい。
美し過ぎる。
これはタモリさんも言ってるが、
吉永さんはトイレにも行かない。
小百合ちゃんは、そうなのだ。


こちら本物。坂本龍馬の妻。
優香ちゃんみたいな感じ。


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