渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

ハカランダ

2022年10月09日 | open
 


昨日、爆入れ活躍したキューの
部分的塗りリペアの為の剥がし。


間違いなくブラジリアン・ローズ
ウッドだ。条約規制前のキューだ
けある。日本でもアメリカでも、
普通にテーブル、ちゃぶ台、箪笥、
キャビネットにも使われていた。
音響も良いので、ギターの主材料
としても1980年代に国際条約規制
で取引できなくなるまで、実によ
く使われていたブラジルのみに
ある樹木。近種は南米に多くある。
1970年代初期には、5万円以内の
廉価普及ギターにさえも本物の
ハカランダが使われていた。
今は宝石のように高くなってしま
った。事実上、新規材料の国際的
な輸出入が不能になったから。
現存する各国内の製材後の在庫の
材料しか使えない。


別物で60-70年前のシンプルな
ブランズウィック製のキューも
手元にあるが、それもごく普通
にあたり前のようにブラジリ
アン・
ローズウッドを使ってい
る。
 
削るとハカランダ独特の香りが
する。薔薇の香りはかぐわしい
とはいうが、結構、強烈で
ある。
きつい香水みたい。
空気に触れて暫くすると、匂い
は薄くなる。


コンマ単位でバットのテーパー
変更する。テーパーがきつ
急激に太くなっている
から
だ。多少感触が悪い。
もっと緩斜面のようなテーパー
する。
 
自分好みの細さに削る。
ノギスで測りながら、少しずつ、
少しずつ。削り過ぎたら戻せない
からだ。
人の感覚は恐ろしいもので、ほん
のコンマミリだけ直径が違っても
それを感知できる。
一般的にも、キューを握って「太
い」「細い」という感触の違い
は、測ると
1ミリも数値では
違っていない。
シャフトがそのよい例で、握っ
ストロークしただけで10分
のコン
マミリの違いを誰でも
体感、
感知する事ができる。
熟練旋盤工
などは指の感覚だ
けで100分の
コンマミリまで
違いを感知できる
という。
オートバイのレバーの角度など
それと似ていて、2mmアングル
違ったら、もうそれはまるで別な
ポジションのようにアングルの違
いを知覚できる。
 
削りはカッターの刃で少しずつ。
ステインを剥がす時と同じ要領で。
均しは木工用ペーパーで。
最終的には面一でツルツルになる
でペーパーの番手を上げて
行き
ながら研ぐ。
均しの確認方法はノギスだけでな
く、日本刀を光に透かして研ぎを
見るような方法で、肉眼でも面の
直線に歪みが無いかを確認して
行く。
自作の刀置きがキュー置きとして
作業中断の時に役に立つ。
大昔のマスプロラインのキューだ
が、良いキューだ。
飾り気の無い、実力勝負のキュー。

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