渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

シュート力か技術力による出しか

2022年10月09日 | open
 
 
ポケット・ビリヤードで大切なの
シュート力か、もしくは手玉
コントロールによるネクスト
出し
か。
答えは、どちらも高度なレベル
高次に結合しているのが理想
であ
り、二者択一はできない。
だが、ステレオ的判断としてでは
なく、物理的な面からはシュート
力が無いとゲームにならないので、
やはりシュート力重視というのは
あるにはある。
手玉をどんなに巧くコントロール
して次玉に出そうとも、シュート
しながらそれをやるので、シュー
ト力に正確性がないとプレーにな
らないからだ。
プロなどがマスワリほいほいと簡
単に出すのは、あれはネクストを
簡単な場所に確実に出す技術力が
あるからだが、それは正確なシュ
ートでポケットインをさせられる
シュート力あっての事だ。
まず、ポケット・ビリヤードはシ
ュートありきだ。
 
シュート力だけに頼るプレーは
「イレイチ」と俗語で呼ばれる。
ネクストを考えずにまずシュート
する事のみをやるからだ。
だが、それではラッキー配置以外
ではほんの4-5球で行き詰まる。
すべての玉を取り切るには、ネク
ストネクストと手玉を予定位置に
出しながらシュートを次々に決め
ていかないと安定したマスワリや
取り切りは実現できない。
ゆえにシュート力と共に、狙い通
のエリアに手玉をネクスト
出し
る為にポジションさせる
上下押し引きや斜めヒネリの
イングリッシュ、カーブに
マッセ、
ジャンプ、殺し玉や
押し殺し、押し抜き、リボイ
ス、切り返し、逆ヒネリでの
返しクッションの伸ばし等々
他にも数えきれないテクニッ
クを自在に駆使する技術力が
不可欠にな
る。
また、同時に玉の動きをよく
知ら
いとならなくなってくる。
 
玉を知るとはどういう事か。
ほんの一例を挙げると、例えば、
手玉と的玉がレールにタッチ・
タッチで両方とも密着している
場合などは、いくら線上の仮想
イン上のイメージボールを撞
いても絶対に入らない。摩擦と
クッションの反発の物理現象で
入らない。
その際には特殊な所を特殊な撞
き方でやらないと物理現象とし
て的玉はポケットに向かわない。
クッション密着の場合は。
また、別な一例として、的玉が
サイドの角に密着している場合
なども特殊な撞き方をしないと
的玉はサイドポケットに入らな
い。
更には・・・
というように、ビリヤードには
いろいろな特殊現象と対処法が
ある。
それらは知っているかいないか
だけの事だ。プロでさえ知らな
い人もいたりする。入れ玉だけ
でプロになった人たちに多い。
そういう人たちは、見ていると
玉を知らないからその状況ドン
ピシャになった時には対処でき
ていない事が観察できる。
知悉性の如何も技術力の範疇に
入るといえるだろう。
 
それでも、シュートだ。
ポケット・ビリヤードはシュート
の確実性を前提に成立している
種目である事は間違いない。
プレーヤー二人が、ずっとセーフ
ティを続ける千日玉のような事を
したら競技が成立しない。ポケッ
トビリヤードはシュートありきだ。
 
話は逸れるが、スリークッション
競技の面白いところは、競技の
構造上、一切セーフティが存在
しないところだ。
スリークッション種目は、「相手
を困らせて苦しめる場を作る事で
自分を有利にさせて勝とうとする」
競技ではない。真っ向対決だ。
剣道みたいな。
ポケット・ビリヤードというのは、
セーフティを使い、相手を困らせ
たりして利を得る場面もある。
まるで大昔の剣士の殺し合いの
真剣勝負のように。
宮本武蔵が書き残すように相手を
むかつかせ、イラつかせ、そして
困らせて利を失わせて勝つ事もす
るのである。
英国式ポケット・ビリヤードの
スヌーカーなどは種目名からして
玉隠しの意味がある。
相手に不利になる状況を作って
順番を回し、そして相手が失敗し
たらこちらが一気にまくるのだ。
ポケット・ビリヤードはそうした
辛辣で狡猾で勝利の為の小狡い事
汚く無いとするような構造
と意
がある種目だ。
キャロム・ビリヤードにはどんな
種目でもそうした構造は一切無い。
玉隠しで相手を困らせるのではな
く、自分の力技で突き抜ける。
そのあたりの立脚構造がキャロム
とポケットでは全く異なる。正反
対なのだ。
 
週末研究会での模擬試合では、
参加者は一切セーフティは使わ
ない。
たまたま玉を外してネクストに
手玉が隠れたら「失礼」と言う。
これは汚い残しや偶然ヒットし
ら「失礼」と相手に声を出
て言う日本独自のキャロム
の礼
儀作法を踏襲したものだ。
ベロを出してベロベロバーみたい
なアメリカの場末のバープールの
ような事は絶対にしない。
偶然ヒットやポケットイン、隠し
玉でのターンでは「失礼」と相手
に申し述べる。
今では見られなくなった日本の
旧来の撞球風習だ。
そして、玉筋極め目的の研究会
なのだから、セーフティ練習で
精度を上げるよりも、他の事
時間を割いたほうがよい。
勝ちのみ狙う公式戦の選手では
ないのだから。
撞球を深めて親しもうとしている
層であるので、隠し玉をゲームの
作戦などに使う意味はない。
試合でのセーフティの有効性は否
定しないが、私たちが今研究会
やっている撞球では不要な
玉筋だ。
なのでナインボールやテンボール
で私たちはセーフティはやらない。
外でやるトーナメント参加では別
だが。
本当に別物の事なので。
求めているのが勝敗ではなく、
別なものなのだ。結果として模擬
戦での勝敗はあるにせよ。
「どんな撞球ができたか」に重き
を置いて今は撞いている。
そして、これがかなり楽しい。
人の玉をよく見て、そして互いに
吸収し合うから。
何より良いのは、互いに「敬意」
を以て撞いている事だ。
一つの理想的な形がそこにある。
 
 

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