渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

人工象牙

2022年06月03日 | open

本象牙の先角。

かつて、JOSSのダン.ジェーンズは
言った。「象牙を超える素材は出て
来ない」と。
それが1980年代末期だった。
あれから30年待たずに日本の楽器
メーカーが世界最高の質性の人口
象牙を発明した。
そして、ほんのつい5年ほど前から
その素材が楽器メーカー以外の製品
素材としても流通しはじめた。
 
本象牙は打感が最高なのだが、割れ
に弱い。何もせずとも気温と気圧
変化だけでパリンとクラックが入る
事がある。ビリヤードの先角の場合、
それが目に見えない箇所に発生して
も、撞けば即判る。タッチの違和感
と音に濁音が混じるから。
すぐに感知できる。
 
本象牙。先角は2003年装着。
私のシャフトは殆ど全てに本象牙の
先角を装着していた。
この
シャフトは赤く重いハード
ロック
メイプル、1986年に
シャフト化および元シャフト
からリング移植。
神田淡路亭製。
この象牙先角が数年前に浮いた。
目に見えないどこかが。


凄腕リペアショップおすすめの
人工象牙に交換。


ネジを切り装着接着。








カッターで水平出しをする。
旋盤よりも信頼できたりして(笑
というか、接着のための均し。
回すだけではダメ。真ん中が削れ
ないから。ワイパーみたいにする。


タップ下部も平面出しをして載せて
隙間が無いか目視する。
さらにカッターの刃の背を立てて
光が漏れていないか確認してする。


よい塩梅。


瞬間接着剤で押圧して接着。
プチッという音がするのを必ず確認
するのがポイント。


完全に乾いたら、コンクリの上など
に垂直自重落下させて音を確認。
この時、澄んだ金属性の音がすれ
はOK。少しでも濁っていれば、
最初からやり直し。慣れたらまず
失敗は無い。


削り出しに入る。
使うのはオルファの黒刃。


縦にザク切り。


少し周囲を残して外周をカット。


桂剥き素材完成。


外周削りの桂剥きをして行く。


これもコツがあるので、慣れる事。
刃物は動かさない。人差し指の
背にシャフトを当てて固定。
この方法は1986年からやっている。


完了。


平ヤスリでタップ先Rをつける。





 
軽く叩いて叩き締め。
キンキンと音がする。
シャフトは空中に浮かせて持つ事。


完了。


磨きに入る。


ポリッシュ終了でタップ装着完了。


これは別シャフト。
手作業でこれくらいの精度は出る。
自分でやれば、誰でもできる。
ただ、多くの人はやらないだけだ。
やらなければできない、何事も。

 
人工象牙。
撞くと思ったよりも硬い感触だ。
削った感じは粘りがあり、本象
牙よりも遥かに柔らかい。
重量は本象牙よりもかなり軽い。
柔らかそうなのに、
玉を撞くと
カッキーンという快音
がする。
不思議な素材。トビは異様に
少ない。なんだべ、これは。
そうだ。この音は甲子園の高校
野球(笑
金属バットのヒットの音。
ただ、本象牙とはかなりいろいろ
なとこが違います。

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