現在休業(数か月)。
オートバイに乗る人たちは今
気づいているだろう。
数年前のプチバイクブームの頃に
ライダーズカフェがドッと増えた
事を。
そして、現在はそれらの多くが
廃業閉店している事を。
それの原因は推察できる。
まず、一般的にも飲食店というの
は順調経営がかなり困難である
という事。
そして、モトカフェは二輪乗りを
対象にしたカフェであるので客層
が限定的である、という事。
この客層限定というのが曲者で、
モトカフェの根幹にも関わるの
だが、まずそのターゲット層たる
二輪乗りたちは飲食代を盛大に
使いますか?という問題がある。
二輪ライダーはごく近所の裕福
な常連以外はツーリング等の旅
途中でライダーズカフェに寄る。
一般的な町中の喫茶店以上に金
は落とさないのである。
食事もコンビニおにぎりやせい
ぜいファストフードやファミレス
等の廉価な物で済ます程度だ。
あるいは最近は高額になった
ラーメン屋等で。
では、ライダーたちだけでなく、
観光客も含めての集客狙いの
営業方針にしたらどうか。
それも、かなり厳しい。
本格レストランで修業した料理人
がライダーズモトカフェの店長
である事はほぼ無いから。
仮に料理が値段相応の極上逸品
だとしても、値段の額面自体が
高かったら財布の紐が超堅い二輪
乗りなどは注文などしない。
また、一般観光客もそうそう年中
来店する訳ではない。厳しい。
まして、レンジでチンの調理物
ばかりでは一般観光客はまず
一度来たら二度と来ない。
では、腹を空かした二輪乗りは
というとレンジでチンの調理物
でも厭わない層ではあるが、
その店を根城とするような層が
大量に存在しない限り難しい。
現実は、立ち寄ってすぐに去り、
今度来るのは数年後、という
パターンの二輪乗りが殆どだ。
ただでさえ一般的な街中の喫茶店
でも資本系のチェーン店でない限
り経営持続が困難な時代、客層を
旅の二輪乗りのみに絞ったライダ
ーズモトカフェは経営継続自体が
最初から困難なのだ。
それゆえ、その通りで、プチバイク
ブームで開店してはほんの数年で
全国的に廃業閉店が相次いでいる。
経営者が別人に権利を譲渡して別
な人がバトンタッチで再度開店
するライダーズカフェも多いが、
根本的な構造に変化は無いので
ほぼどこも第二経営者、第三経営
者が再オープン、再々オープンし
ても経営破綻で閉店している。
理由は明白。
開店前から、現代的に非常に経営
が厳しい一般的喫茶店よりもさら
に痛烈に険しい店舗開業であるの
がライダーズカフェだからだ。
二重三重四重に経営困難な構造に
なっているのである。
そして、サイドメニューの軽食や
本格的な食事があったとしても
それであるのに、ドリンクだけの
ライダーズカフェはその何倍も
経営が困難である事は開業前から
不動の原理として存在している。
さらに、追い打ちをかけるような
条件がライダーズカフェ開店には
備わってしまっている。
それは、ライダーズカフェの店舗
開業をする人は、飲食店で成功
したいという人である前に、二輪
好きが高じて店を持つ人が殆ど
という点だ。
つまり、経営については素人。
ただのバイク好き。
それらの人が飲食店を開店する。
簿価も損益分岐点も何も知らない
人たちが。
それで商売成功すると思いますか?
情熱や個人的な夢や思いだけでは
実社会では店や企業の経営は成り
立たない。
それは、全く以て、という程に。
かつて、日本の伝統職人たちが
自分の仕事で飯が食えたのも、何
も仕事が確かだったからではない。
作った物を売る販売者がきちんと
顧客を確保する活動をしていた
からだ。
なので伝統職人の仕事は、そうし
た販売者や活動をフルサポートす
る敏腕プロデューサーがいないと
物を作っても売れない。ルート
さえ確保できない。経営&運営
活動戦略が無いから。
物を作ってさえいればお客がつく、
店を構えてさえいればお客が来る、
という事はまず無い。
情報宣伝=情宣をどのように展開
して、どのように既存マーケット
に食い込んで集客をするかという
事を見定めて、戦略と細かい戦術
を立案実行できるブレーンと現実
にその作戦に基づいて動く人員が
無いとモノヅクリや店舗経営は
うまくいかない。
会社などの企業体は、そうした
経営の組織化されたもので、人員
配置を含めて、首脳部が高度な
戦略と戦術を練り、現実的に現場
で動く人間たちがその真意を熟知
熟考して営業活動を展開する。
ゆえに営業は馬鹿ではできない。
売れる営業マンは売れる術を
物理的に身に着けているのでは
なく、どうしたら売れるのかに
ついて精通しているのだ。
企業体ではない個人事業者は、
現代産業界では非常に経営自体
が困難で、大資本のグループ
参加に入らないままの経営持続
が厳しい情勢になっている。
個人経営の精肉店、青果店、
鮮魚店が軒並み潰れたのは
1980年代に開始された。
大手スーパーの登場がその個人
店舗破綻に火をつけて、さらに
大手企業コンビニエンスストア
の乱立が個人店舗廃業を助長
した。
そして、30数年後の現在は、
大手企業系グループに属さない
と生き残れないのは、飲食店で
はごく普通の景色になっている。
ラーメン店しかり、レストラン
しかり、だ。
1980年代のバブル経済時代に
「プールバー」なるものが爆発
的に増えたが、軒並み数年で
倒産廃業している。
それは、丁度今のライダーズ
カフェの乱立と倒産廃業に似て
いる。
破綻の構造は両者は同質性を
有している。
客層がどうであるかだ。
現在、ビリヤード場を順調経営
している店は、オーナーがきちん
とした経営形態を模索してそれ
を維持しているからだろう。
ビリヤード店でもカフェでもそう
だが、同じ店舗の箱のままオーナ
ーが入れ替わった店は、まずその
うち潰れる。集客構造に変化を
つける経営実施をしていない店
が殆どだからだ。
つまり、同じ道を歩む。経営破綻
だ。
オーナーが次々と何人も交代する
店はまずそれ。いずれまた潰れる。
では、生き残るにはどうしたら
よいのか。
答えはある。
成功している店に、その答えは
ある。
その経営者の経営活動の芯部から
重要なものを学ぶ事無くして、
経営の起死回生は望めない。
あと一つ重要な事を。
「経営コンサルタント」なるもの
を職業としている企業に自社の
経営方針を委ねる企業も多い。
大抵は経営破綻する。
外部の部外者が社内を滅茶苦茶
に引っ掻きまわして去るのが殆ど
だからだ。
そもそも、経営が成功するので
あれば、自分らで企業活動を
すればいい。
それをやらずに、口出しだけして
企業を引っ搔き回して操ろうと
する。
駄目なのだ。経営コンサルタント
という集団は。
考えてもみてほしい。
彼らは何のリスクも負わない。
もし、年次計画に対してコンサル
タントの出した社内改革方針に
沿って事業展開して、これだけの
損益を出したら、そのコンサルタ
ントが損益分を負担する、などと
いう形態は日本全国どこにも無い。
非常に無責任であり、そうした
集団に企業経営の方針に発言権
を持たせるのは極めて危険なのだ。
だが、経営コンサルタントの
導入により実質経営破綻した企業
は多くある。
それは、中小零細から大手まで。
経営者が取る最後の手段は、企業
売却だ。
それによって、自分ら経営陣のみ
は充分な金員を確保しつつ、労働
者従業員は切り捨てる。
さて、個人店舗だが、飲食業が
極めて厳しい現代。
よほどの作戦を練らないと、ライ
ダーズモトカフェは経営持続が
難しい。
最初から、困難性が極度に高い
構造を有しているのがライダーズ
モトカフェだからだ。
だが、よ~く、世の中を俯瞰して
成功者たちのパターンを分析する
事で、困難な状況を突破できる
かも知れない。
それにはブレーンも必要だが、
経営者本人が自分の頭で深く
洞察する事が大切だ。
果たして、「ただのバイク好き」
にそれができるのか。
できている店は成功しているだろう。
また、成功している店には多くの
ヒントが隠されている。
見るべし。
コーナーの先を。