奥の部屋の電蓄で
シャンソン「巴里の屋根の下」が
流れていました
… … …
両親は音楽が好きで
この「巴里の屋根の下」は
映画の主題歌でした
このフランス映画は
ルネ・クレール監督の
最初のトーキー映画でした
制作が1930年で
公開が1931年ですから
私が生まれる前に両親は
すでに見ていたのでしょう
カツドウ屋だった父親が
母親に「予算があったら日本でも作れる…」と
話していたのが、
子供心に妙に気になっていました
テレビの懐かしの名画劇場?で
「巴里の屋根の下」を放映していました
タイトルが済んでファースト・カットで
シルエットの屋根の煙突をパンして
街並みの俯瞰フルショットになります
カメラはそのまま、街の中に降りてくる
凄いショットで始まります
街並みは多分、オープン・セットで
セットの上から斜めにレールを敷いて
キャメラを乗せたトロッコで移動ショットを
撮影したのではないでしょうか。
まったくの想像ですが…
父親が「予算があれば…」の言葉は
このショットを指していたのかも知れません。