電動車椅子サッカーの全国大会が静岡エコパアリーナにて開催中だ。2度の中止を経て3年ぶりの大会、無観客での開催である。
大会初日の5月3日は、制限速度6㎞で行われるパワフル6=電動車椅子サッカー日本選手権大会2022が行われた。
しかしパワフル6に参加できたのは残念ながら4チームのみ。コロナ禍で練習もままならず参加を断念したチームも少なくなかったようだ。
感染対策もあり試合と表彰式のみで、開閉会式は行われなかった。例年、開会式では亡くなった選手たちへの黙祷の時間が設けられているが、それぞれの心の中で黙祷することになる。
最初にキックオフされたのは、JPDソニック京都電動蹴球団 VS ファインフレンズ(大阪)の試合。先発は京都が小林飛翔、青木亮太、河前雄也、福島穂高。ファインフレンズは西田卓志、益倉誠、児島慧太、多田宗一郎。2チームのなかで電動車椅子サッカー専用マシーン=ストライクフォースに乗っているのは益倉のみ。その益倉の強烈なキックを軸にファインフレンズが序盤から押し込む。
しかし先制したのは京都、前半5分小林が益倉をマークし、益倉のキックをブロック、跳ね返ったボールはファインフレンズのゴールまで転がる。そのまま攻め上がったが小林が児島と多田の間を抜いてゴールを決めた。
だが11分にゴール正面やや遠め位置でフリーキックを得たファインフレンズは、益倉から左の西田に、西田はゴールを背にしながらうまくそらしシュート、ボールはポストにあたりゴールライン上を転がる。逆サイドで児島が押し込み、同点に追いつく。
しかし2分後には京都の小林がGKのクリアボールをそのまま押し込み、この試合2点目。再び京都がリードを奪う。
その後はファインフレンズが再三のセットプレーからゴールに迫るもののなかなかゴールには結びつかなかったが、後半5分右サイドのキックインから、益倉、児島、西田とつないで2-2の同点に追いつく。
試合はそのままタイムアウト、PK戦に持ち込まれ、京都のGK河前が1本止め、PK4-3で京都が決勝に駒を進めた。
ファインフレンズが攻め込み、京都が益倉のキックをブロックしカウンターを狙うという試合。
久しぶりに電動車椅子サッカーの生観戦だったがなかなか面白い試合だった。
別コートでは20分ほど遅れて、バレッツ(長野)とイルシオン東京の試合がキックオフされた。
電動車椅サッカーは通常4人対4人で行われるが、この試合は3人対2人(2人以上いれば試合は成立する)。
詳しいことはわからないが、県外を超える移動の場合、その後の活動に制限がかかる場合も多いらしく。その影響もあったようだ。
またイルシオン東京の木村智之は、車体の全長が規定より長く出場できず無念の大会となった。選手たちはそれぞれの障害や体型により、背もたれを後ろに倒さざるを得ない選手たちもいる。安全のために背もたれの位置までリアガードを伸ばしていたがそれが規定に引っかかった。
メンバーはバレッツが土屋荘平、向山陸央、児玉祐悟、イルシオン東京が村石彬、湯浅邦夫。
ところが湯浅、村石と個の技術に優る2人の東京が押し込む展開が続く。そして10分には村石のミドルシュートが決まり先制。
しかし前半終了間際バレッツが同点に追いつく。(このゴールは前述の試合を観ていたため詳細わからず)
その後、何度かバレッツがチャンスを迎える。後半16分バレッツ土屋のシュートは村石が好守ではじき返す。バレッツ向山のシュートはイルシオン東京の無人のゴール方向に転がっていくが、枠を外れていく。
そして結局この試合もPK戦にもつれこむことになった。
2人対2人で行われ一巡したところで1-1、さらに距離を5mに伸ばし延べ4人が蹴り終わったところでも2対2で決着がつかず、結果は抽選にゆだねられることとなった。
決勝への幸運の切符を手にしたのは東京。
しかし2人の東京は、4人の京都にはさすがになす術がなかった。
京都が4点を奪い優勝。日本選手権の覇者となった。
MVPは京都の河前雄也が受賞。
今回の大会はコロナ禍が色濃く反映された大会となった。
バレッツやイルシオン東京など、できれば両チームのベストメンバー同士の試合が観たかった。
開催できたこと自体が素晴らしいことだが、来年こそは、もっと多くのチーム、選手が参加できる大会となっていることを望まずにはいられない。
明日、明後日(5月4日~5日)は、15チームが参加し、国際ルールに準じた制限速度10kmのマックス10=第6回パワーチェアーフットボールチャンピオンシップジャパン2022が開催される。
無観客だがyoutubeでの配信がある。
一つ前に記事に詳しい情報を掲載しているので、是非白熱した試合をご覧いただきたい。