1日1日感動したことを書きたい

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人生の黄昏時だから、なおそう思います。

「人間の未来-ヘーゲル哲学と現代資本主義」(竹田青嗣)

2009-03-28 13:39:57 | 
 「人間の未来-ヘーゲル哲学と現代資本主義」(竹田青嗣)を読みました。「国家と権力の廃絶、資本主義のほかの経済システムへの置き換えによって、現代社会の根本的矛盾を克服できるという希望は、まったくの錯誤であり、どんな可能性も」もっていないという、きつーい一撃からこの本は始まります。
 実際は、あとがきに書かれている言葉だけれど、僕は、このあとがきを読んで、この本を読んでみようという気になりました。続いて二発目。「資本主義の本質は、人類史上初めて現れた、”持続的に社会生産を増大する経済システム”であるという点にある。」
 「資本主義は自らの墓掘り人を生みだす」というマルクスの言葉を読みなれてきた僕にとって、この二発は、結構インパクトのあるものでした。100年、200年先のことはわからないけれど、今、何をすべきで、何ができるのかということを考える上では、重要な指摘であると思いました。 

 あとがきからこの本を読んで、今読み終えたところです。大切なことは、①「人々の自由」を解放してゆく方向に向けて、私たちが進んで行くことができるのか否か、②すべての人間が、宗教、信条、共同体的出自、言語、職業、その他の条件によって差別されず、つねに対等なプレーヤーとして承認しあう社会作っていけるかどうか、③そして、そのような社会の実現にとって必要な条件と課題は何かという仕方で問題を提起することにあるという筆者の想いは、とてもよく伝わってきました。

「大多数の人民がひとたび『自由』への欲求を自覚しそれを望む限り、国家の『正当性』の根拠は、それが人々の『自由』を解放してゆく方向をとるか否かに定位される。」

 筆者は、ヘーゲルの「自由の相互承認」、ハンナ・アーレントの「多数性」と「公共のテーブル」を紹介しながら、人間的『自由』の本質が社会の中で発現するための根本条件として、①生活の多様性とそれにともなう欲望とその価値の多様性、②それらが開かれた仕方で関係し合う多くの空間が確保されること、③多様な欲望が社会的な活動の営みを通して自分を実現する道筋を持つこと、④この営みについての相互評価の可能性、そして重要なこととして、⑤権力の市民的制御を上げています。

「人間的『自由』の可能性の唯一の原理は、国家=権力の廃絶ではなく、むしろ、人民権力=市民国家の成立ということだけである。」

 今、個人的には労働者協同組合の可能性も追求したいと思っているけれど、組合員の多様性、関係し合う空間、多様性が実現する道筋、相互の評価、そして経営の組合員による制御、この五つは、労働者協同組合の組織原理を考える上でとても大切なものだと思いました。

なんかまとまりのない感想になってしまったなぁ。



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