1日1日感動したことを書きたい

本、音楽、映画、仕事、出会い。1日1日感動したことを書きたい。
人生の黄昏時だから、なおそう思います。

「観念的生活」(中島義道)

2011-06-17 07:49:35 | 
哲学者中島義道の日常生活が、日記形式で語られていきます。この本を読むと、存在、真理、自我、時間、善悪など、基本的な問題について、哲学者というのは、こうも毎日考え続けているのかと驚いてしまいます。「人生にはまったく何の意味もないのだ。ただそれだけのことである」といった中島義道ならではのニヒリスティックな発言は、まぁ、御愛嬌といったところでしょうが。

筆者は、なぜ哲学に首を突っ込むようになったかについて、次のように書いています。これが、この本のエッセンスだろうと思います。

「そもそも哲学なんぞに首を突っ込んだのは、世の中に存在しているものすべてが不思議だったからである。中でも『この私が存在している』ということが不思議でしょうがない。私のあり方こそ存在論の要である。このことはハイデガーを待つまでもなく、誰でも知っている。それは、一方で、最も確実に存在するかのように思われるが、他方、ちょっと探りを入れるともしかしたら存在しないのではないかと思われるぐらい儚げなものである。もし、この私が存在しないものであったら、どんなに人生は楽なことであろう。だが、サルトルがどんなに饒舌に語っても私は完全な無ではないから(無という名の有であるから)やっかいなのである。こうした感覚をもてない人は、たぶんいくら頑張っても哲学者にはなれないのではないか。こんなに至近距離で存在するものの存在の仕方が摩訶不思議だからこそ、すべての存在するものや存在することに対して懐疑の目を向けたくなるのである。」

僕は、いくら頑張っても哲学者にはなれないと思う。



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