山本文緒を「アカペラ」を読みました。うつ病に苦しんでこられた山本文緒さんの6年ぶり
の新作です。「アカペラ」「ソリチュード」「ネロリ」、三つの中篇集でした。
資本主義社会の中では「労働力」としては決して評価されない男たちが、三つの作品に
共通して登場します。娘に面倒を見てもらっている、少し認知症が進んだ70代の老人
(アカペラ)。生業につかず同棲をくりかえし、同棲した女性の面倒になっている40手前の
男性(ソリチュード)。幼いころから病弱で、仕事につけず、姉と二人暮しの39歳の男性。
そしてもう一人、三つの物語には、彼らを支えようとする10代の少女が登場するのです。
この少女たち、どの子も、健気で、芯があって、とても素敵なのです。
「ネロリ」という小説は、心温(ココア)という名前の少女が、次のようにささやくことで
終わります。
「未来のために、今はちょっとくらい会えないのを我慢しなくちゃならない。ちゃんと勉強して、
働いて、大人にならないといけない。
人生がきらきらしないように、明日に期待しないように生きている彼らに、いつか、なくては
ならない期待の星になるために。心を温める名前のあたしが。」
この本のすべてが、この言葉に詰まっていると思いました。「人生がきらきらしないように、
明日に期待しないように生きている」すべての人たちへの、病に苦しんできた山本文緒から
の、精一杯のエールなのだと思いました。。。中篇集「アカペラ」は。
の新作です。「アカペラ」「ソリチュード」「ネロリ」、三つの中篇集でした。
資本主義社会の中では「労働力」としては決して評価されない男たちが、三つの作品に
共通して登場します。娘に面倒を見てもらっている、少し認知症が進んだ70代の老人
(アカペラ)。生業につかず同棲をくりかえし、同棲した女性の面倒になっている40手前の
男性(ソリチュード)。幼いころから病弱で、仕事につけず、姉と二人暮しの39歳の男性。
そしてもう一人、三つの物語には、彼らを支えようとする10代の少女が登場するのです。
この少女たち、どの子も、健気で、芯があって、とても素敵なのです。
「ネロリ」という小説は、心温(ココア)という名前の少女が、次のようにささやくことで
終わります。
「未来のために、今はちょっとくらい会えないのを我慢しなくちゃならない。ちゃんと勉強して、
働いて、大人にならないといけない。
人生がきらきらしないように、明日に期待しないように生きている彼らに、いつか、なくては
ならない期待の星になるために。心を温める名前のあたしが。」
この本のすべてが、この言葉に詰まっていると思いました。「人生がきらきらしないように、
明日に期待しないように生きている」すべての人たちへの、病に苦しんできた山本文緒から
の、精一杯のエールなのだと思いました。。。中篇集「アカペラ」は。