1日1日感動したことを書きたい

本、音楽、映画、仕事、出会い。1日1日感動したことを書きたい。
人生の黄昏時だから、なおそう思います。

「画家と庭師とカンパーニュ」

2008-10-26 20:11:55 | 映画
 今日は山を歩こうと思っていたのだけれど、あいにくの雨。元町のJust In Timeと
いうジャズ喫茶で時間をつぶして、フランス映画「画家と庭師とカンパーニュ」を見
てきました。これもまた、心にしみるとても良い映画でした。

   

 幼なじみの画家と庭師。久しぶりに故郷に帰った画家が、自宅の庭に家庭菜園を
作るために、庭師に仕事を依頼するところから物語は始まりす。二人の会話を中心
に話は進んでいくのですが、その会話から・・・・

 画家が、今スランプにあること、妻に離婚を言われていること、娘が自分と同じ
ぐらいの年の男性とつきあっていること、そして画家自身も娘と同じぐらいの年の
女性とつきあっていること。

 庭師が、国鉄の労働者としてトンネルなどを作る仕事に従事していたこと、アル
ジェリア人の妻は国鉄の清掃労働者であったこと、毎年妻と二人でニースを訪れる
こと、息子が失業したこと、労働者として生きてきたことに誇りを持っていること、
そして彼が余命いくばくもないことなどが明らかになっていきます。

 自らの死が近いことを知った庭師が、画家と二人でカンパーニュ(田舎)の池で
釣りをするシーンは、ほんとうに美しかったです。

 もう満足に立ち上がることもできなくなった庭師が、「鉄道員の菜園」で、横たわりながら、
野菜たちに囲まれて語る言葉。じーんと心にしみるのです。

 「庭師が添い寝をしてあげれば、野菜たちも喜ぶのだ。」
 「天上には住むところはない。地に帰りたい。地に帰れば根っこになることができる」
 「名画は書かなくてもいい。僕の好きな絵を描いてくれ。できればもっと明るい色で」

 無名であること、自らの労働に誇りを持って日常を生きていくこと、そしてそれが
とてもかけがえのないものであることを実感させてもらえる一作でした。