80年目を迎えた沖縄慰霊の日の放送を見ながら、耳を澄ます。摩文仁の丘のリュウキュウマツの木陰から「リュウキュウニイニイ」の高い周波数の鳴き声が、もしや聴こえてこないかと。
沖縄本島在住時だった10年ちょっと前、2回ほどだったが、摩文仁の丘で挙行されたこの慰霊の日のセレモニーに参加したことがある。当時の偉い方のあいさつは、ちっとも覚えていないが、あの静かなニイニイの声だけは、今も目を閉じれば摩文仁から眺めた海の静かな青さとともに、この身体から消えない。あの時季なら鳴いていてもおかしくないリュウキュウクマゼミたちは「慰霊の日」ということでためらいがあったのか、聴こえてくるのは南西諸島の潮騒のような聴きとれぬほど静かなニイニイの音ばかりであった。
マイクの志向性の問題か、今日の摩文仁の丘からは、そのニイニイの音は聴き取れなかったが、海の青さは、記憶とちっとも変わらぬ琉球の澄んだ青さだった。
2016年6月の八重山の空と海
この日、NHKFM聞き逃しでウクライナの作曲家シルベストロフのバガテルを聴き、心洗われる。彼の曲集を「献花」として沖縄やウクライナはじめ不条理な戦火に逝った御霊に捧げる。
「Peter Bannister」さんのピアノで
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