熊野古道から帰って、晴れ渡った先週の金曜、1週間ぶりに青葉の森を歩く。
お目当ては、スプリング・エフェメラル、カタクリの開花と1年生である糸のような葉の観察とヒメギフチョウの食草であるウマノスズクサ科のウスバサイシンの芽吹きの観察。
結果は、観察できなかった。
カタクリに関しては、いくつものうなずきポーズのツボミは確認できたが、開いたピンクの花弁は見つけられなかったし、糸のような1年生も見当たらなかった。
そして、これだけカタクリについては葉やつぼみが出そろい、あと1週間もすれば、あちこち開花できるだけの準備ができているというのに、ウスバサイシンについては、残念ながら芽吹きさえも確認できなかった。カタクリが花開き、ヒメギフチョウが飛び交う頃に一気に芽出しするのであろうか。あと1,2週間、こまめに観察していくことにしたい。今年は、花(サクラ)より蝶(ヒメギフチョウ)に集中してみよう。
そんな観察をしながら、森の小道を漫ろに歩いていると、何やら手帳を手にして歩いていたオバサンに出会った。植物に詳しそうなので、カタクリについて尋ねたら、すでにこの森で二三株のカタクリが花咲いていたこと、カタクリ1年生の糸のような葉の芽出しは、もっと遅い時期に現れ、今はまだ現れないということだった。「そうか、そうだったのか、1年生は遅く現れるのかぁ」これも、あと1,2週間の集中観察してみよう。
帰り際の、あったかな南斜面で二匹(チョウは一頭、2頭と数えるのが正式だそうだ。)のチョウが早くも舞っていた。
黄色の「キタテハ」と瑠璃色のラインが美しい「ルリタテハ」だ。まだ、カタクリをはじめとする花が開かないのに、気が早いなと思ったが、帰って図鑑で調べたら、このチョウたちは、花蜜以外にも樹液なども吸うということで、少し安心した。それに、このチョウの仲間は秋までに成虫となって、寒い冬をじっとして生きているのだという。なんというたくましいチョウたち。まさか、この柔らかな体躯のまま地中に潜り込むことはできないだろうに、氷点下の朝も、どこか葉の陰でじっとしているのだろう。
「ヒメギフチョウ」ばかりではなく、この春、さまざまなチョウの生きざまももっと知っておきたい。