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「お母さんへの最後の贈り物」

2017年12月11日 | 大分県
今日、学校に小包が届きました。送り主を見てもよくわかりません。箱を開けると、お菓子が入っていました。そこに、封筒入りで一通の手紙が添えられていました。 

2学期が始まって間もなく、一人の青年がカメラを抱えて、来校してきました。
「学校の風景を撮りたいのですが。」
と言うので、すぐにいいとは言い難かったので、事情を聴きました。


青年の胸につかえていたものが崩れるかのように、こらえていた涙が頬を伝わっていきました。


ゆっくりと話をしてくれました。


話を聴くと、お母さんは、勤務する学校の卒業生でした。偶然にもお母さんとわたしとは同級生でした。


限られた命であること、病気と闘っていること、お母さんが卒業した思い出の学校の写真を撮ってお見舞いに行きたいことなどを話してくれました。


話を聴きながら、優しい青年の姿にこちらもぐっとくるものがありました。
 


今日は、その青年からのお礼の贈り物と手紙でした。手紙を読んでいきました。


「初冬の候、お忙しき日々をお過ごしのことと存じます。8月28日に突然おじゃまして、大変失礼をしました。先生にご報告させていただきたいことがございまして、お手紙を差し上げました。母は・・・。」
そこまで来ると、予感されることがあって、胸が締め付けられる思いと、悲しみに襲われました。



「母は、かねてより、入院加療中でございましたが、さる9月19日、生涯を閉じました。
母は、中学校の写真を見ることができ、大変喜んでおり、先生にお会いしたいと言っていましたが、残念ながら間に合いませんでした。
おかげで、昔の楽しく幸福な日々を思い出せたのは、辛い闘病生活の中でも、きっと忘れることのない、かけがえのない時間であったと思っております。
このような機会を下さり、本当にありがとうございました・・・・(略)」
 



青年は、お母さんが部活をした場所、あの頃の様子が残っている場所などを撮って帰りました。
 


きっと、病室でお母さんに母校の様子を伝えながら、いい会話を弾ませたことでしょう。その光景を頭に思い描くと、親子のあたたかい様子と何とも言えない悲しみが交錯していきます。
 


学校に来た日が、8月28日。お亡くなりになったのが、9月19日。わずか20日余りです。故郷の耶馬溪のことを息子さんが撮った写真のおかげでお母さんは思い出すことができたと思います。


青年にとっては、最後のお母さんへの贈り物になったのでしょうか。
 


このような行動ができる青年の優しさは、きっとあたたかさに包まれた家庭の中で育って芽生えたものなのでしょう。お母さんもこういう優しさをもった息子さんが自慢であって誇らしいものがあると思います。



ものでもない、お金でもない、・・・人として大切なものを、生きる原点をこの青年から教えてもらったような気がします。
 


「お母さんの死」という悲しみをいっぱい受け止めたあと、青年には、お母さんの願いを感じながら、無限の可能性のある人生を、しっかり切り拓いていって欲しいと思います。


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