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東京「昔むかしの」百物語<その72>明治神宮

2023-03-22 23:08:19 | 東京「昔むかしの」百物語
明治神宮は、遊び場だった。叔母の家が代々木の北参道(後に表参道に転居)にあって、小学生の頃は毎週のように明治神宮で遊んでいた。

明治神宮は明治天皇と昭憲皇太后を御祭神とする、1920年の11月(明治天皇の崩御後)にできた比較的新しい神社で、なにより他の神社と異なるのは、あの鬱蒼とした森が実は、植林によってできた人工の森であるということだ。全国青年団の勤労奉仕で造苑整備されたものなのだ。

元々は肥後藩主であった加藤家(加藤清正公!)の別邸だった。神宮の内苑と呼ばれる一角には「清正の井戸」と言われる湧水が今でも滾々と湧き出している。

明治神宮は終戦間際の空襲で焼失している。戦後の昭和33年に再建されたが、創建時と同じように国民の浄財を原資に再建された。屋根瓦の1枚には、ボクの名が刻まれていると、幼い頃亡父に聞いた。

そんなこともあって、僕は明治神宮が好きだったのだ。

内苑の躑躅や花菖蒲の季節には、決まって出かけた。見事な花々とその庭園美は幼心にも常に鮮烈な印象だった。

ボクのもう一つのお気に入りは青山練兵場跡の馬場で、馬を見ることだった。それと絵画館(あそこも外苑に含まれるらしい)で、日清・日露戦争を描いた絵画(だったと思う)を見ることだった。

明治神宮にまつわる話は、文化の日や正月の初詣の表参道の賑わいなどについて書いた記憶がある。原宿駅の御料列車(御召列車)のことも書いた。

最近では明治神宮もそれほど宗教施設としての認識もないようだが、ボクにとっては殊更に遊び場であって初めから宗教施設などではない。だが、ある種の静謐とした空気感は、他では感じることのできないものがあった。それも原宿と言う流行の最先端を任ずる都会の、真っただ中にあることが、不思議でならない。いや、不思議と言うより奇跡のような気もする。

それはそれとして、ボクにとって明治神宮は、今ではない。幼い頃の思い出として、大きな存在だ。

時として訪れたいと思うのだが、なかなか足が向かない。近いうちに足を運びたいと思う。どうせなら躑躅や花菖蒲の季節が良いかなと思う。もうじきだ。


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