普通な生活 普通な人々

日々の何気ない出来事や、何気ない出会いなどを書いていきます。時には昔の原稿を掲載するなど、自分の宣伝もさせてもらいます。

身沁秋風

2011-09-27 14:04:41 | 普通な人々<的>な
 こんな言葉はないのだが、この2、3日でこんなイメージの体感をしている。

 ことに、「サンズイ」に「こころ」と書いて「しみる」と読むのだが、良い意味でも悪い意味でも沁みることが多い昨今だ。
 
 人の世は「金と権謀で動いている」と、知り合いの誰かから聴いた記憶がある。確かにその通りだなとは思うが、それが世の中を動かすすべてとは到底思われない。だが、そういう側面もあるという程度であれば健全なのだろうが、世の中の人の半数以上がそう思えば、世の中は「金と権謀で動いている」と言っても間違いではなくなる。というよりそうだと断言できる。

 そういう意味で言えば、今の世の中は確かに「金と権謀で動いている」。それを「是」として世の中で動き回るか、それを「非」として世の中を動き回るかで、結果はまったく異なる。「非」を「否」とするという積極的な姿勢に転ずれば、実は「是」の裏返しになるのであり、「是」を認めるのと同じことだという意見もある。そうなると、結果も大同小異と言うことになる。

 中国の殷から周へと王朝が変わる時に、殷の伯夷(はくい)・叔斉(しゅくせい)兄弟が周の禄を食むことを拒否し、蕨を食べて命を繋いだがついには餓死したという逸話があるが、こうした大儀に順ずるなどという発想は、いまの日本人には微塵たりともない。

 餓死することの良し悪しは別にして、生き方を突きつけられる逸話ではある。

 ニュアンスは多少異なるが同じような人はつい最近の日本にもいた。
 戦後の闇米の売買は明らかな「犯罪行為」であり、国の定めた「配給米制度」だけを頼りに生き、ついには餓死した方が二人もいた(本当はもっといたかもしれないが…)。
 一人は教育者・東京高校(旧制)ドイツ語教授亀尾栄四郎であり、一人は法の番人・山口良忠判事だった。教育者と法の番人。なんと凛とした生き様だろうか。幼い頃に父に教えられ、今でも記憶している(原稿とは関係ないが、教育とはなんと凄い営為なのか!)。
 この二人の死は、まったく評価されなかった。そりゃそうだ。誰も彼もが法律を無視し闇買いに走ったのであって、法律を守って餓死するなぞ、アホとしか言いようもなかったろう。

 だが、本当にそうだろうか? 混乱の極にあったとはいえ、法治国家の元で国の定めた法制度を、遵守したのが、言い換えればたった二人だったと言うことにもなるのだ(もちろん食料生産者や食関連産業の従事者は別だったろうが)。

 身沁秋風。こんな感じの昨今なのは変わりない。
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