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ファンサービスの一事例75

2018-12-03 00:01:30 | サッカー(Jリーグ(J1・J2)・国内)

 リスペクトコラムです。
 先週のFOOT×BRAINで、興味深い特集がありました。昨日のJ1最終節でJ1残留を決めた名古屋さんですが、その社長さんの特集でした。いきなり「時代は今『会いに行けるアイドル』どころじゃない。会いに行けるJリーガー」というインパクト満点のつかみタイトル。J2を過ごした'17年シーズンに就任した小西社長がやり手のようです。通常は親企業からの天下りは余りいい人材を見かけた事が少ない。思い出してみるに、過去では川崎さん、セレッソさん、広島さん、マリノスさんくらいかな。今回、ネットを観ていたら、テレビドガッチというサイトに要約されていたので、そこと区分してまとめました。
   
 J1残留争いでの崖っぷちでさぞやJ1名古屋の地元は落ち込んでいると思われるが、実はとっても元気。大変な時期とは思えない明るさ。しかも、社長もすごぶる明るい。クラブもサポーターも活気あふれるJ1名古屋。しかも今年8月にはホーム戦観客動員数が43,579人とクラブ史上最多を更新記録。しかもこの時はJ1最下位の時期。その爆発的な人気の訳として、サポーターの以下の声。
「チームがより一体になっている」「一緒に乗り越えられたらまたもっと良くなっていく」
   
小西工己 代表取締役社長
 '82年トヨタ自動車入社後様々な役職を歴任。'17年豊田会長の命でJ1名古屋の社長に就任。
清水克洋 執行役員兼マーケティング部長

 外資系企業を経て、'13年にJ1神戸社長就任。'17年J1名古屋入社。
   
 '17年に小西社長と清水部長には、1年でのJ1復帰と経営の立て直しを要求された。J1からJ2への降格クラブは集客が2~3割減少するのが通例だったが、名古屋はJ2の年にJ1の前季よりも観客が増加。J1復帰1年目の今季は11月3日時点で40万人を突破。
 '13年の「Jリーグスタジアム観戦者調査」で、Jリーグ観戦同期で「好きなクラブの応援」と答えた割合が、J1名古屋はJ1クラブ最下位の24位になり、危機感を持った。お客様が何を望んでいて、何を求めてスタジアムに来ているのか、しっかり捉えられていなかった。
 足りなかったのは「サポーター目線」。どうすればより地元に愛されるクラブになれるのか、改革を目指してまず行ったのがサポーターのデータ収集。入場券を公式HPからの購入を促し、個人情報を登録でき、購入者の年齢、性別、来場回数等を把握。

「お客様の経営参加」
 経営は我々クラブの人間だけがするのではなく、サポーターと一緒に考え、お客様の声を伺って、経営判断に影響を及ぼすこと。それが上手く周り始めたところから、観客が増加していったのではないか。年会費を払いクラブ運営を支える会員。会長選挙の投票権を持つ「ソシオ」に近づいているのではないか。
 Jクラブはまず企業ありきだったが、地域のクラブとのギャップをどう埋めていくかをこの25年、各クラブはやり続けてきた。ソシオが生まれると、「俺たちのクラブ」という海外と同じクラブになっていける。これまではクラブ目線の偏った発信を行っていた名古屋だが、ファン無くしてチームの成長は無い。サポーター目線というスポーツビジネスの原点に立ち返ることで大きな変革を遂げた。その意識改革はイベントのクオリティも向上させた。スタジアムイベントは今や当たり前だが、J1名古屋は更に斜め上を行っている。社長はスタッフからの提案でNGを言われる事が無く、更にアドバイスを加える。「突き抜けないと、突き抜けたところの世界を見る事ができない。」と企画実施を奨励。
   

 ファン・サポーター向けのイベント(選手参加のボーリング大会等)について、楢崎選手は「名古屋はもともと(イベントなどの)アイディアが少ないと感じていたが、最近は見直されてきた。クラブ全体が頑張っている証。イベント開催に比例して観客動員が伸びているという事は、こういう努力が実っていると思う」とコメント。選手同様に小西社長の人気も絶大で、社長自身が子供たちに似顔絵シールを配布。「風間監督と小西社長になって、クラブが変わった。雰囲気が明るくなった。監督やフロントスタッフが表に出てくるようになった。顔が見えるチームになった」とサポーターのコメント。この変革で、シーズンチケット購入者は前年比133%アップを記録。

 以上のような内容です。目に留まったのがJリーグ観戦動機で「好きなクラブの応援」の割合がJ1で1位が何と柏でした。浦和さんを抑えて堂々の1位です。やはりそうですかと。クラブ独自で観戦者のデータ収集というのは素晴らしいですね。まさに商業の基本ですね。読者の皆さんの地元クラブは「サポーター目線」で運営していますでしょうか。
 ここに出てきた選手参加のボーリング大会は昔事例を見た事があります。それは鳥取さん。それ以降はどこもやっていないようですね。そういう中で実施した名古屋さんは素晴らしい行動力だと思います。表に出てくるようになって、経営者の顔が見えるクラブか、「しゃべるのが苦手」だからと表に出るのを躊躇するような経営者は、ふさわしくない人材という事なのかな。

   
【グランパス小西社長「サポーターの経営参加」に勝村政信「ソシオに近づいている」】
「まず小西社長は、就任当初の予算編成時のエピソードを披露。観客動員の見込みから金額を決めていくのだが、J2降格ということもあり提示された見積もりが低かったのだとか。「意味がわからなかったので、去年を超えましょう。“(前年比)100%”と申し上げた」と笑顔で明かし、隣の清水部長は「正直、難しいと思いました」と当時を振り返った。
 しかし、これによってクラブは大きく変化。改めて、どうしたらスタジアムを好きになってもらえるかを調べるために、サポーターのデータ収集に着手。プレイガイドがメインだったチケット販売を公式サイトで行うように呼びかけ、チケット購入者の情報や傾向を把握した。
 そこからわかったのが、他クラブに比べて女性客の比率が低いとされていた名古屋だったが、実はそうでもないという事実。するとクラブは女性ファン向けの企画を考案。「ガールズフェスタ」を開催し、来場した女性客全員に特製ユニフォームを配布した。しかも、女性向けということで、脱ぎ着がしやすく、裾を前で結ぶこともできるなど着こなしを意識し、ベースボールシャツのような前にボタンが付いているデザインを採用。さらにクラブカラーとは少し違ったピンクをメインにするなど、これまでの固定概念にしばられないアイデアを実現した。さらに今年の第31節には、来場者全員にレプリカユニフォームをプレゼント。スタジアムレコードとなる43579人を達成している。
      

 データ活用では他にも「3試合観戦したら1試合無料」という施策を実施。一見すると売上に悪影響を及ぼしそうに思えるが、狙ったのはサポーターとのコミュニケーション。紙のチケットを渡すだけでは誰が実際に着たのかわからなくなってしまうが、メールで申し込んでもらうことで、その次の試合に声をかけることができるなどメリットがあるという。また、データを分析すると、チケット購入を試合開始の1か月前に検討している人が多いことが判明。これまで試合の1週間前から行っていた告知を1か月前に変更したことでチケット収入が増加した。」
「さらにシーズンチケット購入者向けには、選手と一緒に行う前代未聞のボウリング大会を開催。エドゥアルド・ネット選手も「ブラジルでもこんなイベントやった事がないよ!」と驚き、参加したサポーターも「楽しい。緊張するけど!」「興奮しちゃって大変」と言って大喜び。これらの施策について、楢崎正剛選手は「名古屋はそういうアイデアが少ないと感じていましたが、最近は見直されてきました。クラブ全体が頑張っている証だと思いますし、観客動員が伸びているのも努力が実っている」と話した。
 また、これらの取り組みについて、スタジアムの観客を増やしたいと公言してきた風間監督も賛同。「グラウンドで見せるものとは違う姿も見てもらい、地域はもちろん、その枠を飛び越えた方々も集まるようにしたい。お客さんが集まると数字では考えられない色々なことが起こってくる。それを追求して、さらに勝ちが増えていければ良いと思っている」と思いを明かした。
 最後に小西社長は、かつての上司で現トヨタ自動車の豊田章男社長が「フルスイングして三振したら野次るのではなくて“ナイススイング”と言って笑顔で迎え入れてやると言ってくれていたので、私はそういう上司に恵まれて、今それをやっているだけ」とコメント。「とにかく突き抜けないと。その先の世界を見ることができない。4.3万人でスタジアムが埋まったら、お客さんの交通整理で問題がおこるかもしれない。安全と安心は妥協してはいけないが、他のことは多少の失敗をしても私が“ゴメンナサイ”と言えば済むので、どんどん面白いことをやってくださいと言っています」と言って、上がってきた企画に対しては、ほぼNGなしで積極的に仕掛けていく理由を明かした。」
引用:テレビドガッチ

 長い文章になりましたが、読み応えがあったと思います。当ブログに訪問されていると思われる、各クラブの関係者の皆さん、名古屋さん及び小西社長は今後の注目ポイントだと思います。ファン・サポーターの皆さんも地元クラブの経営陣とよく比べてみてください。クラブ経営に限らず、企業活動の基本が凝縮されている内容だと思います。当ブログでは選手出身のJクラブ社長がベストと認識していますが、名古屋さんの事例を知って、親企業の天下り人材も捨てたものではないなと再認識しました。
J1名古屋関連⑥:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20171219
  〃      ⑤:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20161213
  〃      ④:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20161106
  〃      ③:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20160918
  〃      ②:
http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20140727
  〃      ①:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20130213

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