リスペクト(事例紹介)コラムです。
先日、時事通信で元日本代表で、J1磐田で活躍した藤田俊哉氏の記事が出ていました。当ブログでは、日本代表の究極の強化策は、監督の海外組を作る事という持論を持っており、極論として例えば、ヒデ中田氏が欧州で指導者としての道を歩めばいいのにと書いた事があります。そんな中で、ちょっとタイムリーな情報を知りました。以下、部分的に引用しながら紹介していきたいと思います。
【藤田俊哉の日欧蹴球比較論「日本のS級は欧州では無価値なのか。藤田俊哉が考えるライセンス問題」】
「FIFAの傘下にある6大陸、211の国・地域で取得したライセンスは、全てにおいて共通の価値があるのではないか? 指導者はそこから本人が考える方向へ進み、出した結果によって評価されればいい。多くの指導者もそのように感じているのではないかと思う。」
「そして近い将来、JFA(日本サッカー協会)の指導者ライセンスも“書き換え”をするだけで海外でも通用するようになれば、日本人指導者のヨーロッパ進出の可能性が大きく広がることになる。私は強くそれを願っているが、現時点でまだはっきりしたものはない。」
〔日本でS級を取っても、欧州では意味がない?〕
「私がコーチライセンスについての確認を始めたのは2013年。オランダに来る前からだから、もう4年以上経つ。名古屋グランパス時代のセフ・フェルフォーセン監督(セフさんはVVVフェンロの監督も経験)にも相談した。KNVB(オランダサッカー協会)とはVVVフェンロのディレクターが交渉中で、そのKNVBはUEFA(欧州サッカー連盟)とも交渉してくれている。しかし、なかなか色よい返事はもらえていない。
理由としては、各大陸間のサッカーレベルの違いや各国のライセンス講習の内容、カリキュラムの違いなどがあるという。なので、それらを統一して考えることは難しいとの見解なのである。しかし各国のサッカーレベルはFIFAランキングでも示されているわけだし、W杯の出場回数などから計る方法もある。だからライセンスの書き換えに関して、最低限のガイドラインは作ってもらいたい。」
〔互換性がなければ、最初から欧州へ行くしかなくなる〕
「日本で時間をかけてS級ライセンスを取得しても、海外ではまた最初(一番下のカテゴリー)からライセンスを取り直さなければならないとなれば、トータルで20年は必要になる。ブンデスリーガで20代の指揮官が誕生するなど若い監督が増えている時代に、この状況が続けば、若いうちにプロコーチとしてヨーロッパに挑戦できる日本人など皆無となってしまう。
もしライセンスが一切の互換性を持たないと決まれば、指導者として海外挑戦するならスタート時から海外でライセンス取得を目指す方がいい。その方が圧倒的に効率がよくなってしまうのだ。」
〔日本のS級は、UEFA Proと同等だと主張したい〕
「ヨーロッパに来て3年半、オランダが中心ではあるが各国で試合やトレーニングを見てきた。オランダコーチ協会に登録して研修にも参加した。VVVフェンロで行われたライセンス講習のサポートもした。ファン・ニステルローイによる「UEFA Pro」(UEFAの最高位)ライセンス講習での最終試験を見ることもできた。VVVフェンロの選手が参加しているライセンス講習(日本の「C級」ライセンスに相当)も見学した。それらを見た率直な感想は「日本との特別な違いは見当たらない」というものだった。」
「総合的に判断しても、日本のS級ライセンス講習のレベルは決してヨーロッパのライセンス講習に引けを取らない。
これからも私は自信を持って、日本のS級ライセンスは「UEFA Pro」と同等だと主張していく。多くの指導者仲間が議論を重ねて今後の方向性を決定することが重要だし、ドイツやオランダにあるようなコーチ協会の存在も、今後は必要になってくるのかなと考えている。」
〔U-23監督のオファーも、ライセンス問題で不可能に〕
「今日まで4年間、ライセンス書き換えのスムーズに進まない交渉は続いている。」
「「S級」と互換性のある「AFC Pro」ライセンスから「UEFA Pro」への書き換えだけは実現に至っていない。ただ近々、VVVフェンロのサポートで再度交渉することになっており、その際には日本サッカー協会から書面でのサポートも頂いている。今回はオランダでの3年半のコーチ実績の証明を加えての交渉となる。」「この先どのようなジャッジが下るか全く想像もつかないが、これからもいろんな方法でトライしていきたい。必ず道は開けるはずである。もしそれがなければ、自分達でその道を作るという方法もある。これからも少しずつでも前へ進んでいくつもりだ。」
引用:Number Web
藤田氏、オランダで頑張ってくれているのですね。何とか日本のS級ライセンスを欧州の「UEFA Pro」へ書き換え(同列)ができるように尽力されていますが、実現に至っていないようです。もし、これが実現すれば、日本のS級ライセンスを持った元J1の監督が欧州へ渡り、すぐに欧州のリーグの監督ができるというもの。個人的には、いつかそういう風に欧州のリーグから、その国の代表監督まで経験した人材が、日本代表監督に就任すると。無茶苦茶飛躍して例えると、いつかセリエAやラ・リーガのメガクラブでの監督経験を持つ日本人指導者が、大手を振って日本代表の指揮を執る日が来るという事です。そうすれば、もう少し日本代表も強くなるかもしれないと。上のコラムでは、まだ兌換性がないため、同じ土俵に載れずにもがいている状況です。でも、近い将来垣根が取っ払われる日は来そうですね。
藤田氏について調べてみました。現役引退後、欧州クラブで監督をしたい気持ちがあったため、'13年にS級ライセンスを取得。その後オランダへ渡欧し、VVVフェンロのコーチに就任する予定だったが、オランダの就労ビザ取得条件が厳しく、ビザ申請が保留されてしまい叶わず。それでもVVVフェンロとオランダサッカー協会の協力を経て、'14年に単年のコーチに就任。'17年にオランダ2部で優勝を達成。'17年からイングランドのリーズ・ユナイテッドの強化部に移ったようです。藤田氏のように今度も一人でも多く、指導者の海外組が表れ、今のJリーグひいては日本代表に喝を入れて欲しいです。
藤田俊哉氏公式ツイッター:https://twitter.com/toshiyafujita28
〃 公式FBページ:https://www.facebook.com/fujita.toshiya28/