J OKAYAMA ~岡山スポーツの桃源郷へ

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ヴァンフォーレ甲府のように15

2014-02-11 00:05:33 | サッカー(Jリーグ(J1・J2)・国内)

 事例紹介コラムです。
 当ブログでよく紹介させていただくJ1甲府ですが、スポナビで海野会長を中心とした特集が続いています。「奇跡の甲府再建・海野一幸会長」というタイトルで第9回コラム「GMが持ち込んだプロのマネジメント」です。当ブログでも全部ではないですが、取り上げる事が多いです。今回のコラムも読みごたえがあったので、抜粋して紹介させていただきます。
              
【一番の手柄はGMの招聘】
 2001年に社長に就任した海野会長が自分の一番の手柄として、2008年の佐久間GMの就任。プロフェッショナルなチームマネジメントが甲府に持ち込まれたのは確か。

【多岐にわたる佐久間の仕事】
 GMというとチーム強化の仕事ばかりが一般的だが、佐久間GMは自身の業務をもっと広く捉えているとか。「GMの仕事は選手評価、アカデミーの充実、人事と事業計画、そして苦情処理」に加えてファシリテーター(調整役、促進者)としての役割を自任。調整役として、たとえばサッカーとラグビー、スポーツと観光、山梨県とインドネシアの連携も担う。スポーツ文化を熟成させ、地域を活性化、抱えている行政課題の克服に寄与する事によって、クラブのブランド力のアップにもつながるとしています。
「Jクラブはただ単にサッカーをするだけの団体ではなく、地域に付加価値を付けるためにある」と佐久間GM。この思想はNTT関東(現大宮アルディージャ)のプロ化をにらんで'95年に3カ月間、オランダ、ドイツに留学した経験で育まれたものだとか。

【クラブは地域と地域の人々のためにある】
 佐久間GMは「Jクラブはサッカーをするだけでなく、地域に付加価値を付けるためにある」と日頃口にされ、食育を進める活動に参加するなど地域貢献に積極的。'95年の留学で特に、オランダサッカー、中でもアヤックスの理念とビジョンに強く影響を受けたそうです。アヤックスで見た光景は、地域に根ざしたクラブが地域の子どもたちを人として育て、地域に貢献している姿。それが「ヴァンタス実育山梨」という活動に影響を与えているそうです。スポンサー企業の協力のもと、地域の教育界、スポーツ界とともに子どもたちへの体育、知育、徳育、食育を進める活動で、小学校への指導者の派遣、田植え、稲刈りといった農業体験、食育教室などを展開。クラブは地域のため、そして地域の人々のためにあるために、大局的な観点でものごとを進めなくてはいけない。
 リバプール大学・ローガン・テイラー教授の「自分の価値観を伝え、相手の価値観を受け入れなさい。それには大局的で横断的な思考が必要」という話があるが、ファシリテーターとして地域のために尽くす佐久間GMの姿はそれに近いとしています。2カ月に1度、佐久間GMはサポーターともミーティングを実施。「監督人事、補強、チームの成績などへの批判はしない」という不可侵条約を結んだ上で、スタジアムのエンターテインメント化のために意見を交換。クラブへの帰属意識の醸成を目的に、スタジアムに新しいコミュニティを作る目的だそうです。

【海野「負けたまま逃げるのか」】
 すべてが順調ではなく、敗者として批判の的になる事も。J1に昇格したに上がった2011年に順位を上げる事なく、J2に降格した時に、佐久間GMは海野会長に辞意を伝えたが、海野会長は拒否。「負けたまま逃げるのか」という海野会長の言葉が佐久間GMの心に火をつけたそうです。「優れたリーダーは人の心に火をつけるのが巧み」と佐久間GMのコメント。
 海野会長は現業役員を集めて「佐久間がやめるなら僕も辞める。そうなったらクラブがおかしくなりますよ。みなさん、それでいいんですか」とすごんだようで、クラブの柱である自負をむき出しにした迫力のある言葉だが、決して尊大には聞こえず、聞く者を納得させる力があったそうです。

【Jリーグの理念を具現化するクラブ】
 海野会長は、佐久間GMに「大木には風当たりが強いもので、君もそういう存在になったんだよ」と鼓舞し、翌年に3度目のJ1昇格を達成。当然、佐久間GMはチームの戦績だけで満足せず、クラブの力でいかに地域に付加価値をつけていくか。同時に、いかにクラブのブランド力を上げていくか。目ざすところはそこにあるとしています。
「海野会長のリーダーシップのもと、クラブがこれだけ成長してきたのは正しい事をしてきたから。何となくやってきたことを、きちんとしたスキームにするのが僕の仕事」と佐久間GM。
 佐久間GMの将来について海野会長は「クラブ社長を経験させてから、Jリーグの中枢を担う人間になって欲しい」と語り、佐久間GMの頭の中にあるものは、実はJリーグの理念そのものと言ってよく、もちろん海野会長の頭の中にも同じ光景があるから、J1甲府はJリーグの理念を具現化するクラブとして成長を続けると締めくくっています。

 全くいいコラムです。本当に甲府さんがうらやましい。海野会長は当ブログで尊敬するクラブ社長(会長)の一人であり、これを読んで改めて人間としての素晴らしさを実感しました。できるものなら一度お会いしてお話を聞いてみたいです。たぶん、「また同じ話してる・・・」という声は存在していないでしょう。山梨県民はこういう「親企業のない本当の市民クラブ」(プロヴィンチャ)があって幸せですね。
 甲府さんは、何でもかんでもスポンサーアイテムにしてしまう事でも有名ですが、当ブログでは全く商業主義には映りません。その分しっかりと地域や社会に貢献できているから。地域に付加価値を付ける事に貢献できていないのに、手だけ差し出すのとは違いますね。

 佐久間GMの仕事で、異競技交流やスポーツ観光、山梨県とインドネシアの連携も担い、スポーツ文化を熟成させ、地域を活性化、抱えている行政課題の克服に寄与する事とあります。異競技交流は、地元のラグビーチーム「クリーンファイターズ」との連携です。県とインドネシアとの連携は、以前の記事にあるとおりです。そういう仕事もGMさんがするなんて、何と素晴らしい。チーム編成だけしかやらないというGMとは随分違いますね。
 また、佐久間GMはサポーターとも対話しているそうです。当ブログに出てくる「いい」GMさんは、どの方もサポーターとの対話ができる人という事になります。こういうスタンスを今後も継続して欲しいですね。
 佐久間GMは今後はクラブ社長からJリーグの役員という道が予想されるそうです。当ブログも甲府さんのお2人のような方がJリーグ理事に就くのは大歓迎です。商業主義に傾倒していく印象がある組織を叩き直して欲しいです。
スポナビコラム該当記事:http://sportsnavi.yahoo.co.jp/sports/soccer/jleague/2013/columndtl/201402030003-spnavi
J1甲府関連⑰:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20130811
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