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Jリーグファミリーの資格49

2014-02-17 00:01:50 | サッカー(Jリーグ(J1・J2)・国内)

 事例紹介コラムです。
 ついこの間までサカダイと並んで、長くサッカー専門の週刊誌として、サッカーシーンをけん引していたサカマガ(週刊サッカーマガジン)ですが、「サッカーマガジン 〔ゾーン〕」として書店に並んでいます。先日出張時にたまたま購入して読んでみたのですが、これがなかなか面白い。月刊化して中身が凝縮されたようです。3月号はバルサ特集でしたが、それはまたの機会に紹介するとして、今回は後の方にあるコラムで、「グロービス経営大学院」提供で、葛山准教授の「サッカークラブの経営戦略(3) ~ホームタウン活動~」というのが面白かったです。以下、抜粋して紹介。
   
【Jリーガーの参加者は年間1,078人!】
 サッカーに限らずプロスポーツの世界では、選手や監督等が積極的に社会や地域との関係を重視した活動に参加するのが常識。当然Jクラブも例外でなく、「ホームタウン」という形で地域とのつながりを深める努力をしている。活動の概念としては、地域社会と一体となってサッカーをはじめ、スポーツの普及・振興を促進し、人々が心身ともに健康な生活を楽しむ事のできる「街づくり」への貢献。「地域名+愛称」からなるクラブ名もホームタウン活動の一貫。
 具体的な活動内容は、サッカー教室やサッカーイベント、ファンサービス、サイン会やトークショー、地元イベント、学校訪問、介護福祉活動など。取り扱うテーマは環境問題をはじめ、スポーツ振興、アカデミー、介護予防など多岐にわたり、対象者はファン・サポーターに留まらず、地域住民や子ども(特に小学生以下の児童)となるケースが多い。
 2009年調査では、選手、監督、コーチを含めたJリーグ全体の活動総数は2,417回。年間1,078人もの選手が参加し、選手1人あたりの年間平均活動数は10.1回となっているとか。
【活動で得られた利益を再び還元するサイクル】
 このような地域への貢献は、経営戦略的に非常に重要であり、実は戦略のカギを握っていると言っても過言ではない。社会貢献活動はCSR(企業の社会的責任)の一つとして見られがちだが、もう少し異なる角度から認識すべき。それはホームタウン活動を「クラブから地域へ」というベクトルで考えるのではなく、クラブ経営に大きな影響を与える取り組みという認識。言うなれば、経営戦略上、事業とCSRの両立を目指す事が必要。
 フィリップ・コトラーの「社会的責任のマーケティング」における社会的活動の分類を参考にすると、スポーツチームの社会活動の多くは、社会的に価値ある行動を選手、監督らチーム関係者自らが起こすものである。例えば、選手や監督の地域支援活動への傘下がそれにあたる。
 CSRにはその他、地域住民やファン・サポーターに社会的価値のある行動を促す活動もある。具体的にはチケット収入の一部から社会的関心度の高い分野への寄付を約束し、積極的に試合観戦してもらう事がこれにあたり、「コーズ・リレーテッド・マーケティング」と呼ばれる。更に、疾病予防のために日常的な運動を促進するキャンペーンなど、個人個人に社会をより良くするための行動変容を促す「ソーシャルマーケティング」も同様。
 これらに共通するのは、社会貢献活動をビジネスと連動させている点。クラブや地域社会、ファン・サポーターの行動を社会問題の解決につなげるだけでなく、それらの取り組みをクラブ経営にも結び付け、得られた利益を地域やファン・サポーターに再び還元するサイクルを作っている。
 Jクラブのホームタウン活動が地域との交流という側面で終わってしまうのは、クラブの経営戦略上で非常にもったいない。様々な素晴らしい活動を通して、いかにファン・サポーターを増やしていくか、どうしたらスタジアムに足を運んでくれるのか、クラブ経営に寄与してくれるような関係性を構築するためには何が必要なのか。
 そういった戦略的な意味合いを考慮しながら、ホームタウン活動を活発化し、社会貢献とクラブ運営に相乗効果が生まれる事が望ましい。これこそ今後のスポーツビジネスやクラブの経営戦略に不可欠な視点ではないかと締めくくっています。

 さすが、准教授さんの文章なので専門用語も多く、ちょっとわかりにくい内容ではありましたが、自分なりにコラムの意図が理解できたと思います。以前にも「サッカーはスポーツビジネス。儲ける事だけを考えればいい」「クラブがつぶれたらどうするんですか」「選手は地域・社会貢献活動にはなるべく出るべきでない。サッカーだけやってればいい」という価値観を、今までも紹介した事がありますが、それらがいかに低レベルで愚かな考え方なのかを、今回紹介するコラムを読んでもおわかりになったと思います。あと・・・一般企業でも一流企業ほどCSRは常識となっており、「商業主義で何が悪い」という価値観は、企業活動そのものを否定するものになるのでは。
 当ブログでの論調では、貢献活動と営利事業という相反する事業行為が存在し、どちらかに重きを置くのではなく、いかにバランスを取るのかが重要と言ってくましたが、今回紹介するコラムでも「経営戦略上、事業とCSRの両立」と言っています。意味は同じだと考えます。上のコラムでは選手1人あたりの貢献活動数が年に10回とありますが、それ以上の選手もあればおいおい・・・と口に出せないようなところもあるのでは。
 このコラムを読むと、本当に優れたクラブは、貢献活動をビジネスと連動できており、その利益を再び地域に還元できているとあります。いくら数字がよく観えても、100年という長い目で見るとそれは長続きするものでなく、本当の地域貢献ができて「地域の宝」と成りえた優れたクラブが100年続くのかなと思います。いいコラムでした。
「サッカーマガジン ZONE」公式HP:http://soccermagazine-zone.com/
グロービス経営大学院公式HP該当ページ:http://mba.globis.ac.jp/faculty/topics/detail-3533.html

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