【 敬天愛人 】
道は天地自然の物にして、
人は之を行ふものなれば、
天を敬するを目的とす。
天は人も我も同一に愛し給ふゆゑ、
我を愛する心を以て人を愛する也
ー訳ー
何事も道は天地自然によるものであり
人はこの道に沿って物事を行うべきものであるから、
何よりも天を敬うことを目的とすべきである。
天は他人も自分も平等に愛したもうから、
自分を愛する心をもって人を愛することが肝要である
御存知の方も多いと思いますが
南洲翁遺訓(なんしゅうおういくん)というものの中の一文です。
これは、西郷に心服していた旧庄内藩士達が 西郷から直接
聞いた教訓等を一冊の本にしてまとめ、刊行したものです。
「天を敬い 人を愛する」
まさに 時代の波を奔走した西郷隆盛の訓です。
この訓示は 京セラの稲森会長も人生の柱とし、
経営理念にかかげています。
天とは 大いなる自然・万物であり
愛とは まさに 慈悲・慈愛の心です。
「他人くたばれ 我繁盛」などとよこしまな考えは
自分をも苦しめることになり、
何一つ生み出すものはありません。
生きているうちで 自身の器に入れられる量は決まっています。
【 足るを知る 】ことこそ、人間本来の生きる道だと思うのです。
昨今「もったいない」という フレーズがはやり、数多くの本が
店頭に並んでいます。
そして その横には「株で儲ける」「成功する起業」
「セレブな生き方」なんていう本もあり、自由の国の
盲点が人間関係を希薄なものにしているような気が
してなりません。
〈敬天愛人〉温故知新 人生の先輩の良いと思う教訓は
自分の肥やしとして 深みのある人間になりたいものです。