東京新聞に連載しているコラム「言いたい放談」。
今回は、「パラリンピック」について書きました。
約90名の日本選手団がロンドンへと向かったのは昨日のことです。
次はパラリンピック
オリンピックが閉幕して睡眠不足も解消されたが、“ロンドンの熱戦”はまだ終わらない。来週二十九日からパラリンピックが始まるのだ。
陸上、テニス、水泳などオリンピックと同様の競技が並ぶが、パラリンピックならではのものも多い。
たとえば「ゴールボール」。全盲の選手たちが三対三で向き合う。ゴール目がけて投げてくるボールを、床に横たえた体で受け止め得点を阻止する。相手の足音とボールに仕込まれた鈴の音を追う緊迫の戦いだ。
また「ウイルチェアラグビー」は車イスのラグビー。バスケットボールと同じコートを四対四で走り回る。ボールを抱えたまま相手陣地に置かれたコーンを通過すればトライだ。競技仕様の車イス同士がぶつかり合うタックルでは衝突音がすさまじい。
日本チームは六月の国際大会で世界王者アメリカを破っており、初のメダル獲得も夢ではない。
イギリスの公共放送BBCが制作したパラリンピックのCMをユーチューブで見た。そして圧倒された。
肉体の限界に挑むアスリートたちの厳しさと美しさ。交通事故などで体に損傷を受けながら、それを乗り越える勇気と努力。さらにスポーツを楽しむ心までが見事に表現されているのだ。このCMがきっかけでパラリンピックを見る人が増えればと思う。
ちなみに日本でのパラリンピック放送は、地上波ではNHKのみだ。
(東京新聞 2012.08.22)