碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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「トッカン」井上真央の安定度

2012年08月29日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

日刊ゲンダイに連載している番組時評「TV見るべきものは!!」。

今週は、 日本テレビの連ドラ「トッカン~特別国税徴収官」について
書きました。

いわば「トッカンの女」ですが、「マルサの女」とは、まったく別です(笑)。


やはり安定感がバツグン 井上真央

日本テレビのドラマ「トッカン~特別国税徴収官」(水曜夜10時)が、なかなかいい出来だ。税金滞納者の中でも、特に悪質な事案を扱うのがトッカンこと特別国税徴収官である。

ただしヒロインの井上真央はトッカンではない。有能にして冷血なトッカン(北村有起哉)付の徴収官だ。仕事に対する覚悟も定まらない井上は北村から怒鳴られてばかりいる。このちょっとドジだが生真面目な新米徴収官を演じる井上の安定感が見事なのだ。

先週は計画破産の常習犯が相手。裁判所が正式に破産を認めれば税務署でさえ手が出せない。まさに法律が犯罪者を守ることになる。井上は単独で隠し財産を突き止め、裁判所に破産手続きの中止を
求めるが、堅物の書記官(嶋田久作)が立ちはだかる。井上の頑張り
どころ、見せどころだ。

1話完結のエピソードと並行して、初回に登場した町工場の夫婦(泉谷しげる&りりィ)や銀座のクラブママ(若村麻由美)などのサイドストリーリーを走らせているのも効いている。

徴収官は法律を盾に差し押さえなどを進めるが、滞納者の中には払いたくても払えない事情を抱えた善人もいる。そんな相手に対して、井上は悩んだり迷ったりしながら作業を進める。このドラマは、井上が徴収を通じて「世の中」を知っていく成長物語でもあるのだ。

(日刊ゲンダイ 2012.08.28)



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