日刊ゲンダイに連載している番組時評「TV見るべきものは!!」。
今週は、NHK「探検バクモン」について書きました。
爆笑問題をMCにする必要あるの?
NHK「探検バクモン」は今年2月に終了した「爆笑問題のニッポンの教養」、通称「爆問学問」の後継番組だ。
コンセプトは「オトナの社会科見学」。先週は開館したばかりの「原鉄道模型博物館」に出かけていた。
確かにこの博物館は素晴らしい。爆笑問題の2人も、館長の原信太郎さん(93歳)が生涯を賭けて収集・製作した「1番ゲージ」と呼ばれる大型模型に圧倒されていた。
しかし、圧倒され、感心し、楽しんでいるだけなら、ただの観客である。
原館長の“鉄道模型一代記”は興味深かったが、それは太田光たち抜きでも十分成立する。つまり爆笑問題を起用している意味がないのだ。
以前の番組が様々な研究分野の第一人者を相手に、太田光が一歩も引かずに論争を挑んでいたことを思うと、随分平凡な内容になってしまった。
それに、これまでの見学先として並ぶのは海上保安庁、日本科学未来館、造船所などだ。これって「タモリ倶楽部」をなぞっていないか?
模型博物館でも、案内役として登場したのはフュージョンバンド「カシオペア」の元キーボード担当、向谷実。「タモリ倶楽部」の鉄道企画では常連だ。
かつて「ブラタモリ」が登場した際も、「タモリ倶楽部」との類似を指摘したことがある。
番組の民放化が目立つNHKだが、オリジナリティーは死守すべきだ。
(日刊ゲンダイ 2012.07.31)