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碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

草刈麻有が引っ張る、ドラマ「主に泣いてます」(フジテレビ)

2012年08月22日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

日刊ゲンダイに連載している番組時評「TV見るべきものは!!」。

今週、取り上げたのは、フジテレビのドラマ「主に泣いてます」です。

奇妙な面白さは、ハマる人と、全然合わない人に分かれるはず。

まあ、それを狙っているわけですが(笑)。


主役のお株を奪う怪演は◎

フジテレビ「主に泣いてます」(土曜夜11時10分~)は、バラエティで
よく見かける“9等身モデル”菜々緒が初主演する連続ドラマだ。

しかも役柄は「世の中の全ての男性が心を奪われ、 なりふり構わず
追い回してしまう」絶世の美女である。いや、追い回されることで普通の生活ができない“不幸美女”なのだ。

男をとりこにする美しすぎる顔を隠すために「子泣き爺」から「元巨人のクルーン選手」まで、笑えるコスプレを披露。菜々緒自体がそれほどの美女かどうかはともかく、体当たり(しかないのだが)の演技で頑張っている。

ただし、このドラマの真の主演女優は菜々緒ではない。草刈麻有(草刈正雄の次女)が演じる“究極のツンデレ女子中学生”が秀逸なのだ。

美少女なのに笑わない。自分を「オレ」と呼び、変に大人っぽい(実際の草刈は19歳)。本当は優しいのだが、自分の気持ちを素直に表現できず、暴力的なわがままを通したりする。

ほとんど“怪演”と言ってもいい草刈だが、ぼーっとしているばかりの菜々緒を尻目に大量の台詞を連射し、物語をぐいぐいと引っ張っていく。

ドラマの視聴率は平均で5%台と苦戦しているものの、馬鹿馬鹿しい話を大真面目で撮っているところに好感がもてる。菜々緒に再び主演のオファーがあるかどうかは疑問。しかし、草刈麻有を再発見した功績は大きい。

(日刊ゲンダイ 2012.08.21)