
2007年に放送された、NHK朝ドラ「どんど晴れ」。
このドラマにに登場する老舗旅館のモデル、盛岡市の老舗料亭「大清水多賀本店」が7月末で閉店することになったそうです。
という話をめぐって、日刊ゲンダイから取材を受けました。
NHK朝ドラモデル料亭を廃業に追いやった
「おわコン」現象
「おわコン」現象
6年前、NHK連続テレビ小説「どんど晴れ」のモデルになった老舗料亭が、今月いっぱいで閉店する。明治5年創業の「大清水多賀本店」(盛岡市)。141年の歴史に幕を下ろすことになる。郷土料理が広く岩手県民に愛されてきた。
そんな老舗が廃業とは驚くが、3カ月前には漫画「スラムダンク」に出てくる宿のモデルになった広島の老舗旅館「ちどり荘」が破産した。こちらもピーク時には年間1億円を売り上げていた人気旅館だ。
本来、ドラマや漫画のモデルになれば経営には好影響をもたらすはず。朝ドラの舞台となる都道府県の観光客は平均で1・66%増えるという試算がある(日銀広島支店調べ)。広島を舞台にした「てっぱん」(10年)の経済効果は100億円、前年の「ウェルかめ」(徳島)も36億円といわれた。なのに老舗が次々と店をたたむのはなぜか。
「たしかに朝ドラや人気ドラマのロケ地に選ばれると、軒並み観光客がアップします。ただしそれは一時的なもの。ドラマが終わって、ブームが去ると、その場所自体が『ダサイ場所』として、敬遠される傾向があります。特にネット社会になってから顕著で、“おわコン”現象と呼ばれています。『終わったコンテンツ』に視聴者が拒否反応を示すからです」(上智大教授・碓井広義氏=メディア論)
◆「あまちゃん」ロケ地が心配
地方経済はどこも疲弊している。集客力が伸びそうな企画があると思わず飛びついてしまうのだろう。しかし“禁断の果実”というか、逆効果になりかねない。
「放送中の朝ドラ『あまちゃん』ではありませんが、観光客が急激に増えても地方の宿泊施設などは対応しきれない。しかも、老舗と呼ばれる旅館ほど、古くからの家族経営が多く、日々の資金繰り、施設維持管理もままならない。そんな状態でお客さまを迎えても“サービスが悪い”など、かえって悪評につながってしまう場合があるのです」(旅行ライターの渡辺輝乃氏
“あまちゃん効果”で岩手三陸の主要観光地の観光客は前年比1割増、“八重の桜効果”で鶴ヶ城を訪れる観光客も「先月は2倍以上」(会津若松市観光課)。
思わず「じぇじぇ~」とうれしい悲鳴を上げたくなるが、来年以降のことを考えるとやりきれない。
(日刊ゲンダイ 2013.07.09)
・・・・ドラマのロケ地になってブームが起こり、やがてブームが去ることで、その観光地や観光スポットが、あたかも“おわコン”のように扱われてしまう。
そうならないためには、放送後も、何らかの“進化”を続けていくことが必要なのだと思います。